DOTPLACEでの代表山内康裕の連載<マンガは拡張する[対話編]加藤隆生(株式会社SCRAP代表)×山内康裕 4/6「コスプレも、物語の装置になる。」>がアップされました。
マンガは拡張する[対話編]加藤隆生(株式会社SCRAP代表)×山内康裕 4/6「コスプレも、物語の装置になる。」


DOTPLACEでの代表山内康裕の連載<マンガは拡張する[対話編]加藤隆生(株式会社SCRAP代表)×山内康裕 4/6「コスプレも、物語の装置になる。」>がアップされました。

DOTPLACEでの代表山内康裕の連載<マンガは拡張する[対話編]加藤隆生(株式会社SCRAP代表)×山内康裕 3/6「新しく作るより、既にあるものを書き換える。」>がアップされました。

1月15日の雑誌「PRESIDENT NEXT」にて、代表山内康裕(構成bookish)の連載「仕事に効く[ビタミン]マンガ〜あなたの悩みをマンガで解決!」が掲載されています。今回は、松井優征『暗殺教室』を紹介し、質問者の悩みに応えています。

DOTPLACEでの代表山内康裕の連載<マンガは拡張する[対話編]加藤隆生(株式会社SCRAP代表)×山内康裕 2/6「世の中は出会いに左右されている。」>がアップされました。

DOTPLACEでの代表山内康裕の連載<マンガは拡張する[対話編]加藤隆生(株式会社SCRAP代表)×山内康裕 1/6「『リアル脱出ゲーム』はほとんどの作品に対応できるハードなんです。」>がアップされました。

「地球はまるい。おでこもまるい。そしておなかも。」
「科学の本ってヒンヤリして気持ちがいい」
「瞳の奥には秘密がある」
何のマンガに出てくるフレーズなのか分かりますか? …答えは、それぞれのリンク先です。ただし該当のマンガの“中”には書いていないかもしれません。これらは新刊マンガの表紙に巻かれた帯(オビ)に印刷されている言葉です。帯は、つい手にとって買いたくなってしまうコピーが凝らされている、1人でも多くの読者にマンガを開いてもらいたい編集者の気持ちが滲み出ている部分です。
2015年1月10日、マンガナイトではこのマンガの表紙を彩る小さな役者に注目し、帯ごとマンガを味わうワークショップを開催しました。おりしも新春、日本伝統のカードゲームと組み合わせた「マンガ帯カルタ」というオリジナルゲームを考案し、楽しんでもらおうという趣向です。
帯カルタは、マンガ本体を場札に、対応した帯を読み札にしたカルタ遊びです。引用したように、帯に書かれた言葉には趣向が尽くされていて、断片的なフレーズだけではなかなか正解のマンガにたどり着きません。マンガへの知識と、その場の機転が試されるゲームになるのではないかと期待して考えました。
今回、参加者は全員で約20名。10名づつの2グループに分かれてプレーすることになり、参加者同士の自己紹介から読書会が始まりました。これからしのぎを削るライバルたちとは思えない和やかな雰囲気です。
事前に約30分のリーディングタイムを設け、参加者が持ち寄ったマンガ(場札)を回覧しました。ここで既にゲームは始まっており、テンポよく読んでどういったマンガが播かれるかを広く把握しなければなりません。読み始めたマンガが面白いからといって、1冊に拘りすぎてしまうと、情報量に差が出てしまうからです。しかし私が傍観者として見ている限り、多くの参加者が熱心に1冊のマンガを読み続けています。マンガ好きが仇となる、失敗を予感させるシーンを見ているようで、なんだかハラハラしてしまいました。
心配はよそに、時間が来たのでカルタフェーズに移ります。マンガを重ならないようテーブルに並べると、思わず腰を浮かす参加者の面々。
帯の読み手はマンガナイトスタッフが担当しました。明らかなタイトルや作者名が出ている部分ではなく、そのマンガの内容と関係あるフレーズを選んで読むのがコツです。
いま読まれた帯、自分の好きなこのマンガかも! つい手を伸ばしてお手つきになる人も…
ときどきは、読まれたフレーズと表紙の絵と比べただけで、誰でも分かってしまうマンガもまざっています。こうなると反射神経の勝負です。
白熱の末、結果発表となりました。2回のゲームを終えて、最高得点者にMANGATAマスキングテープが商品として贈られました。
表彰のあと、1位と2位の参加者に、帯カルタで勝つコツを伺いました。
瞬時にこのゲームの肝を把握し、時にスピーディに、時に他プレイヤーのお手つきを待つ柔軟な戦略でダントツの11冊を得点したNさん
「普段から書店に通って帯を見る」「思い切りの良さが決め手」
マンガ蔵書7,000冊の知識量に加え、その場のメンバーの話をメモし、場札の情報を更新しながら8冊をマークしたKさん
「とりあえず手をだすこと」「ただし知識が邪魔をすることも」
観戦していると、プレイヤーのお気に入りのマンガがたまたま場札に出ていると、「これを取りたい!」という気持ちのあまり視野が狭くなったり、勇み足のお手つきをしてしまうという事件がよく起こっていました。ここでもマンガへの愛が時にハンディになってしまう、想定していなかったゲーム性が明らかになりました。「帯カルタ」はマンガへの広い知識、優れた短期記憶と反射神経に加え、冷静さも要求される、総合的な能力が試されるゲームといえるでしょう。
〜レポート後編では、帯のコンテスト「オビ=ワン・グランプリ」、マンガメシと懇親会の模様をご紹介します!

マンガナイトは2014年10月11日、5周年記念として3つのツアーを開催しました。そのひとつが、東京大学漫画調査班、通称「TMR」との座談会企画です。マンガナイト内のメンバーの「TMRの人と話がしたい」という一心で立ち上がったこのツアーもなんと満席。おすすめ漫画や2015年のヒット作を語る座談会に耳を傾けました。
ツアー参加者は11日13時、東京大学駒場キャンパス正門前に集合しました。この日の午前中開催された「書店バックヤードツアー」から合流した人もいました。
そして一路、TMRの部室へ。彼らの部室は駒場キャンパス内の学生会館3階にあります。
壁一面に本棚が並び、マンガ単行本がぎっしり。ツアー参加者からは「どのように単行本は並べているのか」などの質問も。マンガは探しやすいように出版社別に並んでいます。今はちょうど、年末発行予定の同人誌の企画として部員がランキングを作成中。そのランキングに使う作品は、別の棚に分けられていました。
部室においてあったTMR編集の同人誌のバックナンバーにも興味津々で、早速買えないか打診する人もいました。
座談会はマンガナイト側から3人、TMR側から5人が参加しました。司会はマンガナイトの岩崎由美さんです。
まずは自己紹介。名前とやっていることに加え、「10月に読んだマンガ」を発表です。それぞれの自己紹介は以下の通り。(敬称略)
| マンガナイト | ||
|---|---|---|
| 山内康裕 | マンガナイト代表 | 『ラブやん』 |
| 岩本貴子 | ライター | 『ワールドトリガー』などジャンプの新刊 |
| 太田和成 | 書店のコミック担当 | 『恋のシャレード』 |
| TMR | ||
| 黒川 | 2014年度TMR代表 3年生 | 『きのう何食べた?』 |
| 福田 | 修士2年 | 『覚悟のススメ』 |
| マロ(HN) | 文学部所属 | 『明日の君に花束を』 |
| はち(HN) | 1年生 | 『みえるひと』 |
| 溝(HN) | 1年生 | 『親父の愛人と暮らす俺』 |
座談会は「そもそもTMRって?」というところから始まりました。
一般的に「大学のマンガ研究会」といえば、『げんしけん』などマンガの書き手の集まりを想像します。しかしTMRはあくまで「マンガを読む人」の集まり。そこで毎年4月の新入生の勧誘では『マンガを読むサークル』と勧誘するそうです。
しかし実体は同人誌作成が中心。年3~4冊つくり、コミックマーケットやコミケットなど同人誌即売会で販売しています。
同人誌の内容は、TMR内イベントのリポートのほか、作品のクロスレビューなどが中心。かなりのボリュームです。
現在メンバーは15人。うち1人は女性だそうです。
座談会では、TMRから出されたお題のひとつが「マンガ体験を共有するのに最適な方法とは?」というものでした。比較的マンガを読むことが多いTMR内でも、同じマンガについて語り合うことの難しさを実感しているとのこと。音楽やスポーツと比べて、リアルタイムの共有や楽しみ方が制限されている媒体と考えているからのようです。
マンガナイトはもともと、ライトなマンガ好きが気軽に参加して「このマンガおもしろかったよ」といえるイベントを開催してきました。
実は登壇した太田は、マンガナイトの主催イベントで、理想の雑誌を妄想して作るという企画に参加したことがあります。
このとき他の書店員も参加しており「自分と(趣味が)近いなという人が書店員で見つかった」(太田)といいます。ランキング企画も「コメントや『なぜこれを選んだのか』と裏を考えるのが楽しい」という太田さん。まずは、個人がそれぞれの作品についての思いをオープンにすることが、「共有する楽しみ」への第一歩かもしれません。
これほど多様化してしまったマンガカルチャーでは、かつてのように雑誌発売日の翌日、同じ作品について「これがよかった」と感動を共有するのは難しいのかもしれません。例えば野球で「昨日の巨人ー阪神戦はこの選手がよかった」「この選手のプレーはすごかった」とか話すように、マンガで話すとすれば、あらかじめ課題図書を決めるもしくは、ある特定のジャンルが好きな人たちのコミュニティーに所属するしかないのかも?
共有に関する「レコメンド」もTMRやマンガナイトではみんな頭を悩ませます。
マンガはとにかく、ジャンルや趣味の違いが大きい。加えて同じジャンルでも既刊・新刊あわせて、膨大な作品が発売されている。TMRでは「ランキングバトル」という企画も同人誌上で開催されており、TMRの黒川さん曰く「レコメンドは(ほかの人におもしろい作品をとられないよう)さぐりさぐり」とのこと。
そこでTMRでは「推薦レビュー」という企画も立ち上がりました。班員がほかの人に自分のおすすめを読んでもらってレビューしてもらうというもの。「もちろん趣味があわないので、ぼろぼろにいわれる」(マロさん)ようですが、普段読まないものが読める楽しさがあるとの声も。山内も「その人らしくないものを薦めてくるのがおもしろい」といいます。
紙のマンガで育った世代が多いマンガナイトとして、気になるのは現役大学生の「ウェブマンガ」とのつきあい方です。
結果として想像以上にいろいろなサイトを楽しんでいることがわかりました。
「タブレットで週刊Dモーニングと少年ジャンプ+を読む」という福田さんから「新都社も読む」という溝さんまで。ウェブ連載作品の単行本を買うか、という話にも広がりました。
ここで参加者から「単行本を所有したいという思いはないのか」というい質問が。これに対し「そもそも単行本まで買おうと思う作品は少ない」「初版は買う」と考え方は人それぞれ。ちなみの太田は「紙のほうが好き。おもしろい作品ほどおいておきたいけれど、家におけなくなったら人に貸す」という方針とのこと。マンガナイトメンバーの何人かは、この恩恵を受けています。
終了時間が迫ったところで、お待ちかねの「My best&2015年ヒット予測」へ。8人いて、一人も重ならなかったのは驚きでした。(以下敬称略)
『G戦場ヘヴンズドア』(日本橋ヨヲコ)
2人の高校生がマンガ家を目指す作品で「大学生のときに読んで、自分ももっと焦らなきゃと思わされた」
『聲の形』、『7つの大罪』、『鉄の王』など「最近週刊マガジンが好き」
『ヒカルの碁』(ほったゆみ、小畑健)
現実と同じ時間が流れており、週刊で読まなければと一度買うのをやめた週刊少年ジャンプを買い直すきっかけになった
『テンプリズム』
好きな作家の新作なので期待も込めて
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(秋本治)
主人公の両さんの家族愛が出てくるエピソードが好き。休載がないので、最近単行本が厚くなってきている
『ニーチェ先生〜コンビニに、さとり世代の新人が舞い降りた』―好きではないけど、真顔で変なことをやる男性は受けるのだろうな、と思う
『働かないふたり』―好きなので売れてほしい
『うそつきリリィ』(小村あゆみ)
ギャグあり、シリアスあり。主役以外も丁寧に描く
『キリングバイツ』―原作の村田真哉さんに注目している
『星空のカラス』も伸びてほしい
普段から多くのマンガを読んでいる人が集まったことで、王道作品からツアー参加者が知らない作品も数多く飛び出しました。2015年に向けてのマンガライフの参考になれば幸いです。
ちなみに、同人誌の即席即売会をした後、ツアー参加者はキャンパス内にある生協(正式名称は東京大学消費生活協同組合駒場購買部)のマンガ売場へ。『ハイキュー!!』などヒット作だけでなく、「東大らしい」と感じられるマイナー作品もならんでいました。


2015年、明けましておめでとうございます。本年もマンガナイトは「マンガを介したコミュニケーション」を合言葉に、さらに活動の幅を拡げていきます! よろしくお願いします。
さて、去る2014年末にマンガナイトメンバー有志で、2014年に発行されたものの中から、プレゼントとして誰かに贈りたいマンガを10作品選出しました。
女性2人の残業しながらのダラダラ話を中心にした4コマ…それ以上でもそれ以下でもないが、その内容がオタク文化に触れてきたアラサー女子の心に刺さりまくる! 帯のチェックリストが秀逸。
高名な科学者たちが学生で、もし同じ寮の中に住んでいたら?「理系の心」を感覚的で柔らかく、それでいて本質を捉えたタッチで伝える意欲作。
キートンがおじさんになり、その娘は離婚… マンガの登場人物にも人生があった。それでも自然に面白く読めてしまう不思議。なんといっても、新刊で心躍るあの表紙がまた見られることの興奮!
仕事にも恋愛にも難ありの女性が主人公。でも、自分の周りもそんな人が少なくない、と時勢にあった1冊。こうならないための「地方消滅」(増田寛也)か、この先を突っ走った「負け犬の遠吠え」(酒井順子)とのあわせ読みをオススメ。
仕事の中にある、キラキラした感情の素晴らしさを伝える一方で、「好きだったら努力しろ、お金が欲しいなら夢を捨てろ」と厳しいメッセージも説く、「はたらく」ことの意味に迫った稀有な内容。
ねこ背を治すために、作者自身が奮闘するエッセイマンガ。ねこ背にならない立ち方や歩き方など、具体的だし、かわいい。健康マンガの可能性を感じさせる作品。
「細々した言い訳はいわない、悪いと思ったら謝る、人には分け隔てなく接する」――主人公の猛男の男らしさを見習え、と元は推薦者が妻に渡された1冊。読んで納得、こんどは自分が勧める番だ!
推薦者が都内で初めて経験したシェアハウス、その時ルームメイトから勧められた作品が、東京を去る今年、完結を迎えた。本命のマーくんとの決着は? 切なさ1.5倍増しの最終巻。
パンに対する日常をベースに、オシャレなパンをひたすら紹介する4コマ。オチ無し、太すぎる首、凝った装丁、それらを止揚するテキストと、読めば新たな次元が開ける1冊。
劣等感のある人たちの描写に定評ある作者が、書店を舞台に作り上げた物語。偏屈な書店員(イケメン)にドMな女子高生がいじめられるストーリー。あとがきにマンガナイトメンバーが登場!?
クラブの楽しさ、DJの人の凄さって何? トンカツでそれを説明してやろう! 脅威の比喩と類例のないノリでトンカツとDJを対比するドラッギーな展開。読了後には白目を剥いて「確かに!」とつぶやいている筈。

1月9日(金)リトルトーキョーしごとBAR「ほしい未来はつくろうナイト」にて、代表 山内康裕がゲストバーテンダーをします。
12月31日(水)21:00~24:30の日程で本屋B&Bにて開催される年越しトークイベント「本屋で年越し~book topics of the year 2014~」に代表 山内康裕が出演します。詳細はこちらをご覧ください。


2015年2月15日(日)14:00~17:00の日程で、岡崎京子展関連イベント ワークショップ「“90年代”ZINEをつくろう!」をマンガナイトで企画・実施します。詳細とお申し込みはこちらです。

12月16日(火)19:30~開催のSCRAP「ヒミツキチラボ」主催イベント「イチオシ☆マンガバトル」に代表山内康裕がゲスト審査員として出演します。

マンガナイトは2015年1月10日(土)、主催イベント「マンガナイト読書会―マンガ帯カルタ編」を開催します。
イベントのメーン企画は、マンガの帯を読み札、マンガ本体を取り札に見立てた「マンガ帯カルタ」。新年らしく、オリジナルカルタで遊びます。参加の申し込みは下記のフォームからお願いします。
マンガ帯カルタは、マンガ本体に巻かれた「帯」に注目した遊びです。最近のマンガの帯は、売り文句や推薦の言葉が書かれているだけでなく、本体と一体となった、デザイン性の高いものも少なくありません。「もっと、帯と本体の組み合わせを楽しみたい!!」という思いで考えました。
当日は、数人のグループに分かれ、マンガナイトのメンバーが読手となります。読手がマンガの帯のコピー等を読み上げたら、参加者は床に並べたマンガ本から、合うと思うものをとります。もちろん1番多くのマンガ本をとった人が勝者です(※今回はマンガ本を床に並べます。床に座ることになります)。
読み上げられた帯のコピーから、どれだけ作品の内容を連想できるかが勝負の分かれ目。「この作品に、こんな帯がついていたのか」と新たな発見もあるでしょう。
懇親会では、毎度好評な「マンガ飯」も計画中です。マンガ飯を楽しみつつ、カルタを通じて知った作品、2014年に熱中した作品についてわいわい話せればと思います。最新の人気マンガを知りたい方から、ヘビーリーダーの方まで。マンガを介して気軽にコミュニケーションが生まれ、新しいマンガに出会えるイベント。みなさまのご参加をお待ちしております。
※過去のイベントの様子はこちらから
【マンガナイト読書会―マンガ帯カルタ編】

11月27日(木)発売「Ambitious vol.2」のコーナー「成功者が読むマンガ16冊」に代表山内康裕が選書協力しています。


DOTPLACEでの代表山内康裕の連載<マンガは拡張する[対話編]山内菜緒子(小学館『スピリッツ』編集部)×山内康裕3/3「ラクガキ大会で、改めてマンガを好きになってくれたのが嬉しくて。」>がアップされました。

DOTPLACEでの代表山内康裕の連載<マンガは拡張する[対話編]山内菜緒子(小学館『スピリッツ』編集部)×山内康裕2/3「仕事系マンガに宿す『情報の置き土産』。」>がアップされました。

DOTPLACEでの代表山内康裕の連載<マンガは拡張する[対話編]山内菜緒子(小学館『スピリッツ』編集部)×山内康裕1/3「作家と読者を、編集者がどれだけきれいにつなげるか。」>がアップされました。

12月5日(金)19:00〜20:30開催『MANGA INNOVATION AWARD in NAKANO <M.I.A.N.> 「漫画家の登竜門を再考する(2)―誰がマンガを育てるのか?マンガ批評とキュレーション―」』に代表 山内康裕が出演します。

『マンガナイト5周年記念イベント』の第1弾は、書店をめぐるツアーです。10月11日(土)の午前8時半。朝早い時間に、11名のマンガ好きの方が集まって下さいました。当日は予想されていた台風も来ず、秋のさわやかな気配に包まれてツアーがスタートしました。
まず最初はJR五反田駅近くのあゆみBOOKS五反田店へ。あゆみBOOKSは都内に9店舗、他県に5店舗を構える新刊専門の書店です。今回訪問する五反田店は周辺に会社が多いため、男性のサラリーマン客がよく訪れるそうです。では、さっそく行ってみましょう!!

今回店内を案内してくれたのは、太田和成副店長です。太田さんはマンガナイトのメンバーでもあり、各方面でマンガの目利きとして活躍しています。

太田さんの案内で開店前のお店に入ると、まず目に飛び込んできたのはマンガの山。その日の新刊を種類ごとに分けていきます。マンガや雑誌はシュリンカーという機械にかけてビニールで保護します。その後、本を並べて開店前の準備が終了となります。


今回は特別にバックヤードを見せていただきました。そこには本が入ったダンボールや封筒、POPなどが置いてありました。太田さんによると、ここには主にこれから売る本と、返本する本を置いているとのこと。新刊はここから売り場に出したりするそうです。
店内を回った後は太田さんと参加者との質疑応答タイムに入りました。ここでは主に「どんなマンガが売れるか」ということと「書店員さんの本の選び方」に対しての質問が多く寄せられました。まず売れるマンガについてですが、太田さんによると、「中身が一目でわかるような表紙の作品」が多いそうです。四コママンガが表紙に描いてあるものや、グルメマンガなどがその代表例ということです。
書店員さんの選書方法は、主要なマンガ雑誌の連載や映像化される作品を押さえておくほか、マンガの入荷時に軽く目を通したりして選ぶことが多いそうです。
おすすめのマンガについては、『今日の漫画』(史群アル仙)、『ムシヌユン』(都留泰作)、『魔法使いの嫁』(ヤマザキコレ)などを挙げていただきました。

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、次の場所に行く時間が来てしまいました。
書店員さんに話しかけて、この作品を置いて下さいというリクエストもできるそうですので、お客としてもっと書店を活用し、コミュニケーションを深めていければお互いにとって良いのではないかと思います。太田副店長、ありがとうございました!

次に行く場所は本の街、神保町にあります。書店ツアー一行はまず、JR五反田駅から電車を乗り継いでJR御茶ノ水駅に移動しました。御茶ノ水駅に到着後、徒歩で次の目的地「中野書店」を目指します。「神田古書センター」の2階にあるというのですが… あ、見つけました!

ビルの階段を上ると、そこにはマンガの楽園が広がっていました! 古いマンガや雑誌がきっちりと収められています。本が年代順や作家順に分かれていて、探しやすいのも魅力です。
ツアー参加者はみんな仲良く話しながら、お目当ての品を物色しています。あんな雑誌、こんな本、棚の隙間にはゆかいなグッズ…。マンガ好きにはたまらない場所と言えるでしょう。中にはポスターや貴重な原画も飾られていて、目を輝かせる人続出です。



レジカウンターの前では店員さんが作業を進めながら、気さくにお話して下さいました。若い人があまり来ないという話があり、「いやいや! ここにいる人間は全員読みますよ!」と全力で訴える場面も。
また、お店の奥に短編集と題した本が並んでいたのですが、これはなんとお客さんがマンガを自分で切り貼りして製本したものだそう! 愛の深さがしみるエピソードです。


気が付くと時間が経っていて、そろそろ次の本屋に行く時刻になってしまいました。中野書店さん、ありがとうございました!
続いては本日最後となる書店へ。マンガの品ぞろえに定評がある「コミック高岡」です。
書店の入口に貼り出された、新刊案内に書いてあるマンガが既にマニアックで、否が応にも期待が高まります。

1階は一般向けマンガ、地下1階は主に女性向けマンガの売場になっています。まずは1階から見てみましょう。マンガ専門店なので、どこの棚にもマンガがずらり。書籍も扱う書店と違っていて新鮮です。
そして地下1階へ。女性向けのありとあらゆるマンガが並んでいます。男性にもオススメの人気作品あり、BLも同人誌も揃っています。全ての本が等しく並んでいて、とても好感が持てました。
ここでコミック高岡の店長さんが登場。マンガナイト代表の山内も合流し、質疑応答が始まりました。店長さんは主にコミック高岡流「書棚の作り方」についてお話して下さいました。

店長さんの場合、夜寝る前に考えて、読んで面白かったものや映像化する作品を並べるそうです。この辺りはあゆみBOOKSの選書とも共通しています。そしてここからが工夫のポイントで、たとえ新刊が出ない時でも、前と後を並べ替えたりするそうです。本を移動させることで、一見無関係の作品同士がつながりを持つようになるという効果が生まれるということでした。

またコミック高岡の大きな特徴の一つは、マンガにビニールをかけずに置いている所です。これはお店のポリシーに基づくもので、読者に中身を見て納得してもらいたいという思いがあるそうです。マンガには10年20年読まれ続ける作品がたくさんあり、お客さんが納得して買われたものはずっと売れ続けるとのこと。
平野耕太先生の作品が一番売れるというユニークなコミック高岡。マンガ好きの精鋭であるアルバイトさんたちが書棚をこまめに変えるそうですので、来店の際には宝探しをするように書棚をチェックしてみて下さい。

本当にたくさんの質問に答えていただきましたが、そろそろこのツアーの終了の時間となってしまいました。コミック高岡さん、どうもありがとうございました!
楽しかった書店ツアーもここで終了です。最後に参加者の皆さんに記念品を贈呈し、解散となりました。改めて各書店の方に御礼申し上げます! そしてご参加頂いた方々、どうもありがとうございました!!(kuu)

2014年10月13日(月・祝)に『マンガナイト5周年記念イベント』の第3弾として「立川まんがぱーく満喫ツアー」が開催されました。当日はあいにくの雨模様だったのですが、たくさんの参加者の皆さまにご参加いただきました。駅に集合してからまんがぱーくまでの道すがら、ぱーく常連の方から初めて行くという方まで皆さんの思い入れを聞きながら楽しく移動しました。
そしてまんがぱーくに到着。しばしの撮影タイムを経て入館です。


入口から2階へ上がると、入場口が。売店にはフレッシュオレンジジュースや軽食も売っていて、マンガを読みながら飲んだり食べたりできます。


テラスまであって、天気の良い日はここでマンガを読んでも気持ちよさそうです。

そしてマンガコーナー。ずらっと並べられた本たちと木のぬくもりに囲まれて、とても居心地の良い空間になっています。


この日は祝日の午後、そして雨という条件もあいまって、館内はかなり混雑した様子。ただし、この状態は最近では普通とのこと。盛況ぶりがうかがえます。ツアーではまず、参加者にこの空間を味わっていただくために、1時間ほどのフリータイムを設けて自由に過ごしてもらうことにしました。

皆さん、思い思いの場所でゆったりマンガを読んだり、館内を巡ったり。そして、われらがマンガナイトおすすめコーナーの本棚も!

その後、館内の奥にあるスペース(ここには歴史マンガや図鑑などが置いてあり、これまた気になるものばかり)に移動して、本日の目玉の1つである「マンガナイト運営メンバーによるミニトーク」が始まりました。代表山内を中心とした私たちと、まんがぱーく館長でいらっしゃる福士さんとの座談会です。


普段、運営側からのお話を聞ける機会はそうそうないので、参加者の皆さまも興味津々。
立川という立地に作ろうと思った理由や、館長の好きなマンガの話まで話題は多岐に渡りました。
立川まんがぱーくの基本コンセプトは、あえてコアターゲットは置かず、マンガ喫茶とは違って親子や友達とコミュニケーションできる場を作りたいというもの。「ゆるい」空気、空間を自分のペースで楽しんでもらいたい、とは福士館長の言葉です。

実際、その通りの空間になっていると体感できる1日だったのではないでしょうか。
読書スペースが全て畳敷きで寝転がって読めるようにしたことや、中にこもって読める押し入れ風パーティションなどの工夫は社長の趣味だそう。特に押し入れスペースは人気があり、常に人が絶えない状態でした。
質疑応答タイムでは、参加者から積極的な質問が出て盛り上がりました。
「(代表の)山内さんが漫画に詳しいと思ったきっかけは?」と館長への質問には「業界内の話にとても詳しく、感心しました」などと答えてくださいました。

ちなみに、マンガナイトおすすめコーナーの本棚は主に大人の方に人気があるそうです。子供たちの間では、いま話題の妖怪ウォッチや名探偵コナンなどの人気が高いそうで、リクエストがとても多いのだとか。子供から大人まで色んな世代にまんがぱーくが親しまれている様子が伝わってきた座談会でした。
少し休憩をはさんで、ツアー2つ目の目玉「マンガ雑誌編集部体験ワークショップ」の時間です。ここからは、まんがぱーくの一般利用者も混じってのイベントです。なんと参加者に女子高校生もいて、一行のテンションが少し上がったり。
このワークショップは参加者がグループに分かれ、理想のマンガ雑誌を企画するというもの。コンセプトや掲載作品を決め、魅力的な雑誌の企画を各自作っていきます。
今回は3グループに分かれて、売れ線のメジャーな雑誌とマイナーでもコアな読者を狙った雑誌の2種類を企画してもらいました。
はじめに代表山内より説明があり、スタート。

年齢も、読んできた作品も、好みも、全く違う層で分かれたチームなので、どのグループも意見が飛び交い、白熱している様子。


アイデアをまとめるメモが膨大だったり…


実際に漫画コーナーに移動して候補作をそれぞれが選んでくる作品数が多かったり…
なかなか皆さん苦戦しながらも笑顔でプレゼンしていて楽しんでいました。


各グループ、大体の路線が見えてくると一気に作品も決まるようで、下書きから清書へと移ります。真剣な様子。丁寧に書いているグループもあれば、時間ギリギリで焦っているグループも。
グループによって個性が出るのは当たり前ですが、進み具合もバラバラで見ている方も楽しかったです。
そして、この企画の面白いところは、雑誌名はもちろん、きちんと付録まで考えることころ。これもまた発想豊かなアイデアが出てくるポイントです。


出来上がったところで、いよいよ各グループ発表です。このワークショップでは参加者に1番面白く読みたいと思ったものに投票してもらい、それぞれの得票数を競うことが最初に言われていたので、皆さんのプレゼンにも熱が入ります。



そして、売れる雑誌とコアな雑誌の1位を取ったのは、こちら!
その他のグループ作品には、現役女子高校生をターゲットにしたその名も『マカロン』や、有名な作品の第1話だけを載せる『週刊第1話』と力作が揃いました。

コアな雑誌の企画では、以下のような作品が出ました。

最後に山内と福士館長からの総評を経て、ワークショップは終了しました。限られた時間の中で、たいへん盛り上がったと思います。みなさんの楽しそうな顔が印象的でした。

ご参加された皆様、お疲れ様でした! ありがとうございました。(N.Y.)


MEETTYにて代表山内康裕が『有名漫画家の隠れた名作』をテーマに作品を選書しコメントをしました。
11月16日(日)15:00~17:00本屋B&Bにて開催のトークイベント『杉井ギサブロー×佐渡島庸平×山内康裕「モーションコミックの現在と可能性について語る」』に、代表山内が出演します。詳細とチケット購入はこちらからお願いします。


10月15日創刊の雑誌「PRESIDENT NEXT」にて、代表 山内康裕の連載「仕事に効く[ビタミン]マンガ〜あなたの悩みをマンガで解決!」が始まりました。vol.1では、さだやす『王様達のヴァイキング』を紹介し、質問者の悩みに応えています。

DOTPLACEでの代表山内康裕の連載 マンガは拡張する[対話編]3/3「マンガ家からすると『140文字も書ける』って素晴らしい。」がアップされました。

DOTPLACEでの代表 山内康裕の連載 マンガは拡張する[対話編]2/3「『東京トイボックス』の頃にクラウドファンディングがあったら。」がアップされました。

DOTPLACEでの代表山内康裕の連載「マンガは拡張する[対話編]」小沢高広(うめ)×山内康裕 1/3「作家が編集者を選ぶ時代が来る?」がアップされました。

前回の論評で「少女マンガの華は今も昔も恋愛である」と書いた。その内容を否定するわけではない。しかし、魅力的な華が故に生まれる誤解もある。それは少女マンガが恋愛ばかりを扱い、環境問題や原発問題、経済格差など、社会的な課題と接続していないのではないかという指摘だ。この批判、そのまま少女マンガは幼稚だと言われているような気分になりとても不快なのだが、それに対し、少女マンガらしさを失うことなく、社会的な課題を扱っているマンガを提示してカウンターを与えられたらと思い筆をとった。紹介するのは岩本ナオ『雨無村役場産業課兼観光係』である。
この作品初出は2007年と決して新しくはない。しかし、近年顕著になってきている過疎化、少子高齢化、地方移住といった問題を全て引き受ける内容になっている。主人公・銀一郎は東京の大学を出た後、少しでも地元の役に立ちたいと故郷の村役場に就職を決める。付き合っていた彼女は田舎暮らしを嫌い、就職とともに関係を終わらせる。
物語は銀一郎と幼馴染みのメグ、後輩の澄緒の三人を中心にまわる。「ここじゃ16でデキ婚で高校中退のウチの弟みたいなののほうが喜ばれるぐらいだし」とはメグの台詞。彼女は20歳そこそこであるのにも関わらず、自分の体型を気にして、結婚相手の心配をしているのだ。銀一郎は、晩婚化が進み、「おひとり様」も珍しくない都会とは異なった、田舎の洗礼を帰省早々受けることになる。
いざ初登庁してみても、近所で捕れたヌートリアの尻尾を数えることが仕事だったり、大型スーパーの誘致に失敗して村長が落ち込んでいたりと、理想の職場とはかけ離れた状況に置かれる。予算も少なく、若者もおらず、主だった産業もない…、雨無村は日本中どこにでもある田舎の村だ。銀一郎はそんな状況でも前を向き、経験を積みつつ、村を活性化させ、地域を維持するためのアイデアを練っていく。
Uターン就職を決めた銀一郎は、彼女との別れや役場での仕事から本当に自分の選んだ道が正しいのか悩む。そんな悩みを忘れさせてくれるのが、将来のことを考えずになんとなくフリーターをしている澄緒とアイドルの追っかけをしながらも将来を悲観する幼馴染みのメグとの他愛もないやり取りである。当然、少女マンガの定石を外さず、この三人の関係には恋愛が織り込まれていく。
近年、地方への移住を考える若者が増えてきている。しかし、実行の障壁となっているのが、雇用機会の少なさと、地方独特の面倒くささ、特に人間関係だ。求人に関しては全員が銀一郎のように役場の職員とはいかなくとも、選ばなければ介護系を中心にあるし、IT系のエンジニアなどは都会に居なくとも仕事をこなせるので、移住を決断する例も多い。かえって地域を維持するための若い働き手は、田舎において非常に重宝される。一方、地方独特の面倒くささについてはこれといって論じられる事が無い。あっという間に噂が広まったり、陰口を叩かれたり、村八分にされたりと地縁が無い物にとって地方暮らしに踏み出す恐怖心は意外に強い。
では、どうすれば良いのか。「地域存続の危機」と既存住民を煽って新規転入者に寛容になれと言うのか。転入者に、この土地の習慣だから辛抱してくれと言うのか。どちらも簡単に進むわけではないが、移り住む人たちが安定して暮らし続ける事ができる環境を、従来の住民と一緒に作っていくための努力は必要だろう。そうした状況を意識し、最近は移住者と従来からの住民の間を取り持ち、住居や農作業の世話をする「定住コーディネーター」を置いている自治体も珍しくなくなってきている。
さて、銀一郎が仕事をする中で、地域活性化のネタとして目を付けたのは、村の山に生える巨大な桜である。この桜を中心に祭りを企画すれば、観光客を集める事ができるし、村全体が結束するのではと考えたのである。確かに地域における具体的な目標を共にするというのは、コミュニティの醸成に大きな効果が期待できる。それは桜祭りのようなイベントを村あげて開催することであったり、地域の特産品を使って新たな商品を作り出したりと、何もせずに縮小や衰退を嘆いたり仕方なく受け入れるだけではなく、具体的な行動に移すことである。
ただ、コミュニティの活性化において配慮してならなければいけないポイントがある。それは地域活性化の取り組みは成長し続けることが求められるものではないということだ。企業活動に携わると、必ず成果として前年以上の数字が求められる。常に業績は右肩上がりであるべきだという経営のルールがそこにはあるのだ。しかし、地域においてのイベントや特産品は、常勝を目指していては成り立たない。近隣のライバルも幸せにならなければ、広域で見た時に地域全体が活性化しないからである。
社会学の巨人、タルコット・パーソンズは成長、成功や利益を目的とした、手段としての行動を「インスツルメンツ・アクティヴィスム」とし、一方、行動自体に満足を覚える、自己充足のための行動を「コンサマトリー・アクティヴィスム」とした。経営戦略や受験勉強といったインスツルメンツ・アクティヴィスムは「売上高」や「偏差値」といった一定以上の成果を得るために行われる。そして、活動の目標となる数値は次第に高まっていく。一方、働くことそのものから得られる満足や、勉強すること自体が好きで、何かが分かることによって得られる満足にモチベートされて行われるのがコンサマトリー・アクティヴィスムというのだ。前者が一定の目的を達成すれば完結したり、さらなる目標の再生産を行ったりするのに対し、後者はライフワークとして行われることが多く、明確なハードルやゴールがない。
実際、地域において振興のためのアイデアを出し、住民の活動を促進していく立場(本作では銀一郎)においても、前年以上の成果が求められるのは非常につらいし、小さな村がコミュニティとして割ける労力やコスト、ファシリティには限界がある。作中にも桜祭りに予想以上の来客があり、駐車場が足りなくなるなど、そうした細かい問題が描かれている。地域おこしは、観光客や消費者といった外部の人の高評価を得るという面が重視されがちだが、当事者の負担やそれに伴う持続性の担保を考慮すればインスツルメンタル・アクティヴィスムの枠組みで解釈される活動ではなく、身の丈で手作り感を失わず、活動そのものによって関係者の自己充足心が満たされるコンサマトリー・アクティヴィスムの枠内で評価されるべき対象なのではないだろうか。
現代の日本においては依然、経済最優先で右肩上がりを前提にいろいろな物事を考える習慣が残されている。企業の業績や日本の国際競争力、基礎学力の向上など、数値の積み上げが評価される分野ではそういった評価が有効となる。一方、人口減少や過疎化、高齢化、貧困格差などをその論理でとらえようとすると、どうもしっくりこないのである。役所が行う公共サービスや住民が主体となった地域活性化においては、いかに負担無く持続できるか、そしてその活動自体から関係者が満足感を得るかという事が重要になるからだ。私は決してインスツルメンタル・アクティヴィスムを否定しているわけではない。そのものさしでは評価しきれないコンサマトリー・アクティヴィスムの存在を意識するだけで、今までとらえきれなかった物事について語り合うことが出来るのでは、と考えているのだ。
あぁ、スッキリした。
少女マンガの華は今も昔も恋愛である。確かに、主人公中心の小さな世界で、恋愛成就をゴールとして、流行の要素を取り入れるために社会情勢を利用する…そんな作品も無いわけではないが、それをもって「少女マンガ=幼稚」と決めつけるのはあまりにも短絡だ。社会に起こる多様な問題に挑み、その中にそっと恋愛を置く。そうした、少女マンガだからこそたどれる社会問題への接続方法があるのだから。

アニメ!アニメ!にて、作品レビュー“『聖闘士星矢』の忘れられない名勝負:後編 不可欠な仲間の絆”を寄稿しました。

アニメ!アニメ!にて、作品レビュー“『聖闘士星矢』の忘れられない名勝負:前編「少年マンガらしさ」の体現”を寄稿しました。


10月1日発売「ブレーン11月号」の座談会記事「青山デザイン会議・マンガのコミュニケーション力」に代表 山内康裕が坪井卓氏、福田里香氏とともに出演しています。

マンガと人をつなぐ――そんなコンセプトでマンガナイトを始めて、今年で5周年。仲間うちで始めた読書会に徐々に多くの人が参加してくれるようになり、5年のうちに活動の幅がずいぶん広がってきました。ずっと心がけてきたことは、「マンガ好きなら参加したい、ほかではなかなかやっていない新しいことを」。これからも挑戦は続きます。
マンガナイトは、小さな読書会からスタートしました。もともと僕自身マンガが好きで、「マンガに関するイベントをやりたい」とずっと思っていました。何人かの友人に「マンガについて語れるイベントがあれば参加したい」と後押しされ、試しに仲間うちでやってみることにしました。最初の会場はメンバーの個人宅。岩明均さんの『寄生獣』と二ノ宮和子さんの『GREEN』を課題本にして、1990年代のエコブームについて再考するというもの。今から考えるとちょっとお堅いテーマでしたが、参加者には意外に好評。社会人になって、マンガについて熱く話せる場所がなかったからかもしれません。
マンガ好きが集まれば、当然自分の好きな作品や、今のお薦め作品の話になります。「あそこに行けば、面白い作品に出会えるらしい」と伝わったのか、徐々に口コミで参加者が増加。個人宅には入りきらなくなったので、外のスペースを借りることになり、現在の定番イベント「読書会」がスタートしました。
読書会で一貫して重視しているのは、いかに参加者がその人にとって新しい作品に出会えるか、ということ。それは、それまで自分が知らなかった作品でもいいし、自分にはできなかったマンガへの見方でもいい。参加する人が、少しでも持ち帰ることのできるものがあって「参加してよかった」と思ってくれたら成功です。
読書会は定番イベントですが、毎回おなじテーマではつまらない。「テーマにあわせたお勧め作品を参加者に持ってきてもらい、みんなで回し読み」という基本は維持しつつも、リピーターも初めて参加する人も興味を持ってもらうためのテーマ決めに毎回知恵を絞ります。例えば2014年は「マンガマッピング」に挑戦しました。2013年に読んだお勧めマンガを持ち寄り、各ブースで軸を決めてマトリックスに落とし込む――2013年に読んだ作品なら出版年は問わないので、新旧作品が混ざり合う、カオスで魅力的なマンガマップが出来上がりました。
「カジュアルなオタク」が増えてきたことで、マンガはマーケットとしていろいろな人に意識され始め、マンガに関するイベントも増えてきています。ですが、主催者側からの一方的な情報発信スタイルのイベントが多く、マンガ好きが集まって、書店や出版社の枠を超えた話ができる場所は意外に少ないのではないかと思います。
マンガナイトの場合、メンバーやイベント参加者の好きなマンガのジャンルは本当に十人十色。イベントの懇親会でも、すごくマンガに詳しい人は、出版社や書店員、マンガナイトメンバーとなぜある作品が売れているのかを分析しているし、普段あまりマンガを読まない人は、最近人気のあるマンガや、自分の好みにあうマンガを勧めてもらっている――イベントの楽しみ方も十人十色です。
読書会のほかにも、さまざまなマンガとの「出会い方」をアレンジする企画を実施してきました。例えば「マンガ書店員バトル」(2011年開催)。首都圏の書店で働く現役書店員(マンガ担当)の方々をお呼びして、POP講座や棚作りバトルを実施。さすがは書店員、あまり知られていない作品や、特定のテーマを取り上げたエピソードの載った単行本が登場し、バトルを見ていた参加者にはとても刺激になったようです。
その他にも、マンガとの出会い方の提案の直接的な例として、マンガ本棚の選書があります。バックグラウンドも好きなマンガも全然違うマンガナイトのメンバーが、本棚の置かれる場所のコンセプトに合わせて「これぞ」という作品を選びます。現在は、東京・下北沢の個性派書店「本屋B&B」や東京都立川市にある「立川まんがぱーく」などに設置中。選書だけにとどまらず、「本屋B&B」では、「SFマンガナイト」というトークイベントを開催。第一線の科学者のお薦めマンガを本棚に並べ、マンガを選んだ科学者をお招きし、キャリアのスタートに、マンガがどう影響したのかを熱く語っていただきました。
さらに、「立川まんがぱーく」では、来場する子どもたち向けにマンガ絵の描き方を学ぶワークショップや、マンガが好きな子どもたちの夏休みの自由研究になるような、「マンガかるた」の作り方教室を開催。作品そのものだけではなく、マンガという文化全体をもっと知って、楽しんでもらうようなマンガとの「出会い方」を今後も生み出していきたいと思っています。
最初はマンガと人がつながればと思っていましたが、活動をしていく中で徐々に人と人がつながるようになってきました。「好きなもの」という共通点があると、距離が縮まるスピードがまったく違います。
実は、マンガナイトのメンバーほとんどは、元々イベントの参加者だった人たち。メンバーは平日は仕事をしつつ、企画ベースで参画したい案件に手を挙げ、時間を見つけてイベントなどの準備をしています。
また、メンバーそれぞれの関心事や得意分野を生かして、マンガを通じてできることが広がっていくのが、マンガナイトの特長です。たとえば、2011年に東日本大震災の復興支援で行った「マンガ直行便」は、あるメンバーの発案がきっかけでした。被災地でほっとできる一瞬をもたらしてくれるような、安心して読めるマンガをトラック1台分あつめ、気仙沼の避難所へ送り届けました。その他にも、現役書店員や多くのマンガを読んでいるメンバーが手腕を発揮している「選書」や、ライターをやっているメンバーによる外部メディアでのレポートや書評の掲載など、それぞれがマンガという分野で、自分の強みを生かして活躍しています。メンバー自身が「面白かった」「得るものがあった」と思ってこそ、マンガナイトの活動が続いていくのだと思います。
「マンガ好き」も実は多種多彩。単行本が好きなのか、雑誌が好きなのか。マンガを読むのが好きなのか、マンガについて話をするのが好きなのか。特定の作品やマンガ家が好きなのか、どんどん新しい作品を知るのが好きなのか。マンガという大きな市場の中で、それぞれの「マンガ好き」がのめり込めることは実は小さなテーマなのです。マンガナイトではいろいろな人の知恵を借りて、小粒でも心の底からマンガ好きが楽しめるイベントをこれからもどんどんやっていきます。マンガにあまり縁がなかった人にも、もっとマンガの魅力を知ってほしいし、親子や友達同士が、マンガを通じてもっと関係を深めてくれるとうれしい。マンガナイトがその手助けをできればと考えています。
マンガと人をつなぎ、結果として人と人がつながるーこのコンセプトは今後も変わりませんが、同じことをやっていては成長がない。
マンガナイトはこれからも新しいことに挑戦していきます。
(山内康裕)
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