やがて21世紀にかわり、環境に気配りした、静かに走るハイブリットカーが注目を集める時代意識のなか、突如エンジンの轟音を鳴り響かせるマンガが現れた――梅澤春人『カウンタック』である。
主人公はサラリーマンの空山舜。金もなく、彼女もなく、酒をあおって腐っていくばかりの生活を送る34歳が、ひょんなことから子供の頃憧れていたランボルギーニの「カウンタックLP400」を破格で譲り受けることに。スーパーカーに見合う男になるため、新しい日々がはじまる。
『サーキットの狼』から40年、クルマに込められたロマンは、ひとびとの心から決して失われていなかったのである。
投稿日: 2012年10月2日
文=凹田カズナリ
街の文化を支える書店チェーンで勤務。平和台→早稲田→五反田店でコミック担当を歴任。現場で仕入れた知識を広めるべくマンガナイトにも参画。2011年~「このマンガがすごい!」「このマンガを読め」にもアンケートを寄稿。日本橋ヨヲコ、鶴田謙二、長田悠幸、阿部共実、きくち正太、山田穣、谷川史子、堀井貴介、沙村広明、松本藍、篠房六郎(敬称略・順不同)を筆頭にオールジャンル好きな漫画多数。