『サーキットの狼』から40年、スーパーカーの轟音ふたたび。

カウンタック

1970年代、池沢さとしの『サーキットの狼』などの影響を受けてわき起こったスーパーカーブーム。それは爆発的といってもよく、子供だけでなく大人も巻き込んでの社会現象と化した。しかし、高度経済成長の終焉は、豪奢さや過度の性能重視とともにあったスーパーカーへの関心を薄くさせ、その失速はまさにエンジンの火を落とすかのごとくであった。
やがて21世紀にかわり、環境に気配りした、静かに走るハイブリットカーが注目を集める時代意識のなか、突如エンジンの轟音を鳴り響かせるマンガが現れた――梅澤春人『カウンタック』である。
主人公はサラリーマンの空山舜。金もなく、彼女もなく、酒をあおって腐っていくばかりの生活を送る34歳が、ひょんなことから子供の頃憧れていたランボルギーニの「カウンタックLP400」を破格で譲り受けることに。スーパーカーに見合う男になるため、新しい日々がはじまる。
『サーキットの狼』から40年、クルマに込められたロマンは、ひとびとの心から決して失われていなかったのである。

ohta
文=凹田カズナリ
街の文化を支える書店チェーンで勤務。平和台→早稲田→五反田店でコミック担当を歴任。現場で仕入れた知識を広めるべくマンガナイトにも参画。2011年~「このマンガがすごい!」「このマンガを読め」にもアンケートを寄稿。日本橋ヨヲコ、鶴田謙二、長田悠幸、阿部共実、きくち正太、山田穣、谷川史子、堀井貴介、沙村広明、松本藍、篠房六郎(敬称略・順不同)を筆頭にオールジャンル好きな漫画多数。