子供の頃、憧れていた人に出会えて人生が変わったというのはありがちな話ですが、本作は鳥山明先生に出会えて救われた作者の体験談です。「普通」という言葉の残酷性、言葉に表すということの怖さも再認識しますね。鳥山先生の巻末コメントも含めて「言霊」が持つ、人を助けることもあれば傷つけることもある力が大きなテーマに感じられました
子供の頃、憧れていた人に出会えて人生が変わったというのはありがちな話ですが、本作は鳥山明先生に出会えて救われた作者の体験談です。「普通」という言葉の残酷性、言葉に表すということの怖さも再認識しますね。鳥山先生の巻末コメントも含めて「言霊」が持つ、人を助けることもあれば傷つけることもある力が大きなテーマに感じられました
あの歴史上の人物が架空の世界にいたら! というifは、妄想好きのマンガ読み方にはたまらないはず。この作品の主役はホームズ&ワトソン。というのもあり短期的な事件を推理するための伏線はもちろんのこと、長期的な伏線もあちこちに張りめぐらされている。まだ第1巻が発売されたばかりだが、伏線がどのように回収されていくのか楽しみな作品である。
美大合格を目指す予備校生、岡本桃寧(ももね)の日常と淡い恋を描いた物語。あとがきには「70年代から80年代初頭あたりに流行した少女漫画を目指した」とあり、確かに作者の他の作品より、ハートウォーミング度が高い印象を受けました。受験に関する話も多いので、今現在最後の追い込みをかけている人を応援したくなります。ファイト!
何かしら家庭に事情がある人たちを主人公としたオムニバスの二巻。一巻以上に子供と大人の視点が絡み合うようになり、子供と大人お互いが役割を果たそうと努力する姿がより一層愛しくて悲しい。志村貴子先生はどれだけの引き出しがあるだろうといつも驚かされるばかりである。#7 夢見る少女じゃいられない は、自分の気持ちを見透かされた気がしたほどだ。私も誰かの幸せを祈りたい、そう思った。
朝ドラをはじめ民放でも舞台に使われていたり、いま広島が熱い‼︎ ということで、この作品を。牡蠣やお好み焼きなどメジャーなものから、マイナーグルメまで、広島の魅力を『ワカコ酒』の作者が余すところなく描いたグルメエッセイ。シンプルな人物画に対して、丁寧に描かれた料理絵は、見ると(お腹が)唸ります。読めば今すぐ広島に行きたくなる、そんな作品。ワカコがちょこっと登場したり、ワカコ酒ファンにも嬉しい仕上がりになっています。
自身と周囲をネタにしたじわじわ可笑しい4コマ作品で知られる作者によるカレーマンガ。「日本一辛いカレーを出す店」「汽車がカレーを運んでくる店」といった個性的なカレー屋さんのレポートから全国のご当地レトルトカレー食べ比べ、研究者の先生への取材など、しつこいほどにカレーにまつわる体当たり企画満載! カレー愛を自覚する人もしない人もきっと楽しめます。
数ある手塚作品の中でも私が一番、というかマンガの中で一番好きな作品がこちら。名作ではあるのですが、ナチスというテーマがテーマなだけに残酷な描写も多数あり、意外と未読の方も多いのではないでしょうか? 世界中で今もなお続く紛争の本質を読み解く上で避けては通れないテーマを、手塚治虫の見事な手腕で描き切っています。追う側と追われる側の立場が逆転するラストも秀逸。手塚治虫自身はこの作品をラブストーリーでもある、と表現していました。どうでもいい余談ではありますが、主人公の峠草平は、私の理想の男性像ですw。
昔のローグライクゲームで「モンスターも食べれるんだ!?」という絶妙な面白さ、自分しか気づいていないと思っていた。そのおかしさが本作でうまいこと昇華されたような気がする。おりしも食マンガブームの中で、グランドクロス的な効果をもたらした作品。
ここ最近の中で笑った作品。電車の中でも笑いそうになり、あわてて本を閉じたことも。製紙会社の研究員3人が、勤務時間後に美容やファッションの研究に勤しむというビューティコメディものですが、ギャグシーンはむしろ青年マンガ誌に載せても良いくらい。小技も効いています。インパクトのあるタイトル、そして化粧品のCMを彷彿とさせる装丁も魅力的な一冊です。
日本国民の多くが通過してきたであろう星新一のショートショートを気鋭のマンガ家たちがコミカライズ。シンプルな文章で綴られた原作だからこそ、各作家の想像力が存分に発揮された、バラエティ豊かな仕上がりに。原作小説も改めて読み返したくなる、良質なオムニバスとなっています。単行本既刊3巻のほか、2巻までの内容からの再録による文庫版も発売中。
冴えない中年男性の娯楽と思っていた「サウナ」が、ちょっと流行っているらしい。そんなニュースを見て、この「サ道」を思い出した。銭湯の隅、サウナのドアの不思議な存在感が気になったことがないだろうか。これまで理解できなかった世界に、ほんのきっかけから足を突っ込み、ドはまりの時期を経て、自分の選択肢が少し拡がった状態に落ち着く、あの感覚を追体験できる。「さらに、高次元へとアセンションされたし!」
国語の教科書に載っていた物語がベースの短編集。懐かしい話や知らない話が出てきて、誰かと教科書のことやその授業にまつわる思い出を話したくてしょうがなくなってしまう一冊。個人的には出てこないが、かまきりりゅうじの話がしたい。
作者の溢れんばかりのゲーム愛を過去の体験から描かれていて、ゲームも人を救えるんだと思えちゃいます。また、思わずほくそ笑んでしまう懐かしの題材を切り口に、インドア派のR35世代にとっては、当時リア充だった男子にはわからなかったであろう少年の頃の繊細な心の葛藤を思い出させる作品です。あと、ハイスコアガール事件の時の作者の心境も描かれていて、こちらも全編をとおして最後に読むと妙に腑に落ちます。
女性目線のリアルなラブストーリーを得意としている作者が、今はなき名雑誌「IKKI」で連載していたやりたい放題のハチャメチャラブストーリー。異常に自分の貧乳に執着する女子高校生とデブでオタクの映画監督がある事件をきっかけに逃亡生活を送ることになるのだが、疾走感溢れる滅裂な展開も濃いキャラクター達による力技で一気に読み進められる。独特な恋愛節も健在で、不思議とキュンとすること間違いなし。
料理マンガは数多くあれど、私が一番好きなのはこちらの作品!明代中国を舞台に、ドSの沈夫人とドMの李三の物語。李三は窮地に陥るほど作る料理の味をレベルアップする。それを知った沈夫人は美味しい料理を食べたいがために彼に無理難題を押し付けるのですが、困り果てる彼の表情を見てほくそ笑んだり、美味しい料理にありつけた時の喜んだ顔などがなんともキュート。中華料理が食べたくなります!時代を1900年代初頭に設定した「沈夫人の料理店」も必読。
「千年万年りんごの子」の作者待望の新作は、なんとバレーボールマンガ。「部活をやる意味とは何か?」「頑張った先に見えるものとは?」という問いに真っ正面から切り込む作品です。心理描写も繊細かつ大胆で引きつけられます。そして184cmの女子高生、兼子武蔵がとにかく大っきくてキュート。彼女の真っ直ぐな「なぜ?」は、部活に限らず、何かをする意味について考えさせてくれます。読者はそのトスをどう受け止め、返していくか。読みながら青春できるシリーズになりそうで期待大です。
地方都市に漂う閉塞感を感じたことがある人は誰もが共感してしまうシーンがあるはずの表題作。淡々とした表現がじわりと閉塞感を与え、またじわりと喜びを感じさせる。その小さな喜びや苦しさなどが本作にリアリティを増している。言ってもどうしようもない、だから諦めよう――最近日常でそう思った人にはぜひ読んでほしい一冊だ。きっと読後は少しだけ主人公たちに救われていることだろう。
中学生の甘く切ない初恋物語…と言ってしまえばそれまでですが、思わぬ結末が待っていて切なさ倍増。LINEやEメールではなく、時間差で届いた想いの詰まった手紙を読む主人公につられて、涙がボロボロこぼれました。最近ではあまり見かけないおかっぱ頭&前髪をピン留めで七三分けにした主人公をはじめ、図書館、雪、おばあちゃんち、絵本などのノスタルジックなアイテム選びも巧み。ラストに収録されている2ページものの後日談も必読です。