とんかつDJアゲ太郎

とんかつ屋見習いとDJの共通点とは何だろうか? それは「アゲる」こと。とんかつを揚げることとDJでフロアを盛り上げること、本作はその二つに共通点を見いだし渋谷系と言い切った時点で勝ちである。実はこのマリアージュ、言い換えると食×音楽×地域となり、なんと普遍的な強度をもってしまったのだ。そして、ジャンプブランドにも関わらず、あまりに絵が下手かつ実験要素満載。それは、電子マンガアプリ(少年ジャンプ+)の無料閲覧枠という新たなプラットフォームができたからこそであり、その最初のヒット作でもある。そういう意味でもマンガ史において重要な作品として語り継がれるかもしれない。

文=山内康裕
1979年生。法政大学イノベーションマネジメント研究科修了(MBA in accounting)。 2009年、マンガを介したコミュニケーションを生み出すユニット「マンガナイト」を結成し代表を務める。 イベント・ワークショップ・デザイン・執筆・選書(「このマンガがすごい!」等)を手がける。 また、2010年にはマンガ関連の企画会社「レインボーバード合同会社」を設立し、“マンガ”を軸に施設・展示・販促・商品等のコンテンツプロデュース・キュレーション・プランニング業務等を提供している。 主な実績は「立川まんがぱーく」「東京ワンピースタワー」「池袋シネマチ祭2014」「日本財団これも学習マンガだ!」「アニメorange展」等。 「さいとう・たかを劇画文化財団」理事、「国際文化都市整備機構」監事も務める。共著に『『ONE PIECE』に学ぶ最強ビジネスチームの作り方(集英社)』、『人生と勉強に効く学べるマンガ100冊(文藝春秋)』等。