少年時代

疎開先の小学校を舞台とした学園モノ。戦争&田舎&子供社会という、超閉鎖された環境に君臨する王、タケシ。小学生とは思えない人心掌握の術、情報収集力をもってその地位を確固たるものとしている。冷徹な支配者としての態度の一方、外で時折見せる素直で素朴な人格。主人公はタケシへの友情と恐怖との間で葛藤する…息苦しい雰囲気と安孫子素雄の焼き過ぎた写真のようなタッチが絶妙なマッチングを見せる本作、読んでいると、いつの間にか自分は小学生になってしまう。なんでもないことや見えないものにヒリヒリしていた当時の気持ちが、自分の中にまだ残っていることを実感した。読後の無常感と開放感が入り混じった感覚は比べるものがない!

文=本多正徳
1980年、広島生まれ。専門出版社勤務。マンガナイトではすっかりイジラれ担当になってしまった最近(!?)。男子校の寮でマンガの面白さに目覚めました。好きなジャンルはガロ系とヘタウマ系。藤子不二雄やつげ義春、水木しげるなどの古典的ナンバーも得意。心のマンガは『ダンドリくん(泉昌之)』『サルでも描けるまんが教室(相原コージ、竹熊健太郎)』でしょうか… ほかの趣味は読書、囲碁・将棋と悲しいほどのインドア派。ウェブサイト/グッズ制作を担当。