茄子を狂言回しに、今も世界のどこかで流れているかも知れない風景を切り取ってきた短篇集。省略法が効きすぎた、スナップショットの連続のようなコマ割りと、話し言葉に近い順番のセリフ回しが最初は慣れませんでしたが、読めば読むほど心が落ち着いていくテンポがあります。何か起こるのか?…と思ったら起きない。これは伏線か?…回収されない。ただ語られるだけの物語がここにあるわけです。アニメ版「茄子 アンダルシアの夏」はこのうちの1編を元にした映像化作品ですが、またマンガとは違ったテイストで名作です。
投稿日: 2015年4月16日
文=本多正徳
1980年、広島生まれ。専門出版社勤務。マンガナイトではすっかりイジラれ担当になってしまった最近(!?)。男子校の寮でマンガの面白さに目覚めました。好きなジャンルはガロ系とヘタウマ系。藤子不二雄やつげ義春、水木しげるなどの古典的ナンバーも得意。心のマンガは『ダンドリくん(泉昌之)』『サルでも描けるまんが教室(相原コージ、竹熊健太郎)』でしょうか… ほかの趣味は読書、囲碁・将棋と悲しいほどのインドア派。ウェブサイト/グッズ制作を担当。