日出処の天子

いわずもがな、山岸凉子大先生の傑作中の傑作。クライマックスは何度読んでも大泣きしてしまいます。聖徳太子がゲイであるという設定はさておき、主人公の厩戸王子の狡猾さ、嫉妬深さは、まさに「女が腐ったような男」。外見はいくら美しくとも中身は肥溜めのごとくドロッドロです。その嫉妬に狂った時の表情の恐ろしさたるやまさにホラー。それもこれも毛人への想いが故なので切ない限り…。一方、蘇我毛人の純朴さ、鈍感さたるや少女漫画史上最高級。王子ならずともイライラしますw。同性が故に届かぬ想い、異性が故に愛されないもどかしさ、母への憎しみと愛情、果ては醜い政権争いなど、様々な感情と思惑が渦巻くこの作品。男性にもぜひ読んでいただきたいです。

fujita
文=ふじた
イベントではブース担当。食べ物に対する執着心は人一倍。 初めて読んだ漫画は「火の鳥 望郷編」で、意味もわからず絵だけをひたすら見てました。 その後「うわさの姫子」にハマり、漫画人生スタート。小学●年生、なかよし、ぶ~け、ハロウィン、週間マーガレットなどを購読。1997~2001年頃のヤングサンデーの連載陣に好きな作品が多いです。