みんなのトニオちゃん

最近「シンギュラリティ」という言葉が流行っていて、私もあまり詳細を知らないまま会話の端々に忍ばせています。もし脳の完全コピーができたら、「この人は昨日死んだ」ということに周りの人が気づかず、人間にとっての死は極私的なイベントになってしまうことでしょう… というので思い出したのが本書に収録の「アルバイト(通称:五億年ボタン)」。以前からネットで散々、話題になったり画像アップされたりしているので知ってる人も多いと思うのですが、わざわざ紙の本で買いました。味があるとさえ言えない、恐ろしく無機質なCGと乾いたギャグに戦慄します。「小学生のころ考えた」という人も多いこの手のネタですが、小学28年生の今でも考えれば考えるほど恐ろしく、夜も良く眠れます。来たるディストピアに備え、読めば憂いなし!

文=本多正徳
1980年、広島生まれ。専門出版社勤務。マンガナイトではすっかりイジラれ担当になってしまった最近(!?)。男子校の寮でマンガの面白さに目覚めました。好きなジャンルはガロ系とヘタウマ系。藤子不二雄やつげ義春、水木しげるなどの古典的ナンバーも得意。心のマンガは『ダンドリくん(泉昌之)』『サルでも描けるまんが教室(相原コージ、竹熊健太郎)』でしょうか… ほかの趣味は読書、囲碁・将棋と悲しいほどのインドア派。ウェブサイト/グッズ制作を担当。