緋色の椅子

高校生のときにはじめて読み、外にいたにもかかわらずに泣いてしまった思い出がある漫画です。「夏目友人帳」の作者が描く、ある王国の玉座をめぐる物語です。田舎の村で生まれ育った少年ルカリアは王家の妾腹だと判明し、王位を引き継ぐため王都に旅立ちます。その少年の幼なじみの少女セツは、数年後に彼を追いかけていきますが、そこで出会ったのは偽物の人物でした。セツは本物を見つける旅に出ます。だんだんと伏線が判明していく冒険ものの楽しみもありながら、登場人物たちのこころの揺れ動きにぐっときます。特に真の黒幕が判明したときに、その人物を責めることができるのかを、ぐるぐる考えさせられました。

文=松尾奈々絵
1992年生まれ。少女漫画から青年漫画まで好きです。趣味は野球観戦。