きっと可愛い女の子だから

このタイトルが、元ネタとなっているであろう某ミュージシャンの、独特のクセのある歌声で脳内再生される人も多いでしょう。本作はまさに、あの歌声のようなマンガ。地味で、ちょっと根暗で、自意識ばかり肥大化していて、周囲の「普通」の人のように振る舞えない主人公たち。彼らが「普通」の人に不器用に恋をして、傷ついたり、一歩進んだりする様子を丹念に描いたオムニバスです。高校生のストーリーではありますが、心の深い部分はそのままに実年齢を重ねてしまった大人にこそ、彼らの考えることが理解できるはず。いわゆる「コミュ障」を自覚する社会人たちに読んでほしい、そして密かに「ああ、わかる…」と思ってほしい…!

文=鈴木史恵
1986年2月生まれ、千葉県出身。おもちゃメーカー勤務を経て編集・執筆業へ。マンガ好きとしての原点は物心つく以前から触れてきた手塚治虫と藤子・F・不二雄。24年組、80年代ニューウェーブ、ガロ系、それらの系譜にある青年マンガを中心に、面白そうなものは何でも読みます。マンガ以外の趣味は好きなバンドのライブや映画鑑賞など。