しわあせ

「幸せ」ではなく「皺汗」です。念のため。「へうげもの」でご存知の方も多い山田芳裕さんの短編作品。バブル景気に湧いた1980年代を、サイコーにファンキーでクールに過ごした主人公が老後を過ごす西暦2030年代は、教育・政治・環境、服装、娯楽、飲食も含めたカルチャーなど全てが、バブル時代とは真逆の人畜無害で健全な物になり果てる。退屈この上ない世の中を嘆き、アナーキー精神を常に持ち続けようとする主人公。いちご風味のわざとらしさや着色ウィンナーへの渇望、オニツカタイガーへの羨望、文化遺産となったジュリアナ跡地など、細かい描写がいたる所に。山田先生の作品は、何かに対して一途にこだわる主人公が描かれる事が多いのですが、先生自身もこだわりの多い方だと思います。そういう作家さんの描く作品というのは、やはり他には無い絵柄だったり設定だったりして、発表から何年経とうがいつまでも新鮮で印象に残ります。装丁デザインも、私が所持する書籍の中で一番凝っててサイコーにCOOLですYO!YO!

fujita
文=ふじた
イベントではブース担当。食べ物に対する執着心は人一倍。 初めて読んだ漫画は「火の鳥 望郷編」で、意味もわからず絵だけをひたすら見てました。 その後「うわさの姫子」にハマり、漫画人生スタート。小学●年生、なかよし、ぶ~け、ハロウィン、週間マーガレットなどを購読。1997~2001年頃のヤングサンデーの連載陣に好きな作品が多いです。