竜宮家族

今クールでドラマ放映の『アイムホーム』。本作がマンガ原作と知っている人は多くないと思う。原作は、メディア芸術祭マンガ部門で大賞を受賞した作品ではあるが、連載から15年以上の時を経てのドラマ化だからだ。なぜ今また注目されているか、それは最新作である本作と読み比べると腑に落ちる。「家族とは?」をテーマに、作者は何をもって「家族」なのか、「家」の意味について疑問を投げかける。それは普遍的なテーマで、作者の伝えたいことの根底は大きく変わっていない。ただ、バブル崩壊前に連載された『アイムホーム』と、震災後に連載された本作、その投げかけの変化よりも受け取り手である読者の方が変化しているのではと思う。この2作品、合わせて読むのにベストなタイミングに違いない。

文=山内康裕
1979年生。法政大学イノベーションマネジメント研究科修了(MBA in accounting)。 2009年、マンガを介したコミュニケーションを生み出すユニット「マンガナイト」を結成し代表を務める。 イベント・ワークショップ・デザイン・執筆・選書(「このマンガがすごい!」等)を手がける。 また、2010年にはマンガ関連の企画会社「レインボーバード合同会社」を設立し、“マンガ”を軸に施設・展示・販促・商品等のコンテンツプロデュース・キュレーション・プランニング業務等を提供している。 主な実績は「立川まんがぱーく」「東京ワンピースタワー」「池袋シネマチ祭2014」「日本財団これも学習マンガだ!」「アニメorange展」等。 「さいとう・たかを劇画文化財団」理事、「国際文化都市整備機構」監事も務める。共著に『『ONE PIECE』に学ぶ最強ビジネスチームの作り方(集英社)』、『人生と勉強に効く学べるマンガ100冊(文藝春秋)』等。