彼女とカメラと彼女の季節

「写真」をカギに展開される、卒業を間近に控えた地方の高校生3人の恋愛模様。主人公・あかりが恋をする相手は、ミステリアスな雰囲気の女子生徒・ユキ。ということで、女性同士の恋愛を描いた百合マンガとしての一面ももちろんあるけれど、それ以上にこれは美しく生々しい青春マンガ。弾むようなときめき、ヒリヒリとしみるような痛々しさ、どす黒くドロリとした劣情…形だけは大人になってしまった私のような読者には、この作品に描かれる感情のすべてがキラキラに包まれていて、とても眩しい!全5巻、じっくり味わいながら、丁寧に読むのがおすすめです。

文=鈴木史恵
1986年2月生まれ、千葉県出身。おもちゃメーカー勤務を経て編集・執筆業へ。マンガ好きとしての原点は物心つく以前から触れてきた手塚治虫と藤子・F・不二雄。24年組、80年代ニューウェーブ、ガロ系、それらの系譜にある青年マンガを中心に、面白そうなものは何でも読みます。マンガ以外の趣味は好きなバンドのライブや映画鑑賞など。