元受刑者を地方都市へ移住させる政府の極秘プロジェクトが巻き起こす、ある漁村の顛末記。山上たつひこのストーリーと、いがらしみきおの記号的で空虚な絵のタッチが不思議なマッチングを見せている。日常風景に民俗的なホラーとギャグが重なり、展開の緩急も読めない。名作の低予算映画を見ているような、マンガでは珍しい魅力があった。怖い(気持ち悪い)もの見たさの感覚が刺激され続ける。最終巻の最後ではちょっとしたタネ明かし的な一幕もあり、意外と読後感は良い。
投稿日: 2015年10月11日
文=本多正徳
1980年、広島生まれ。専門出版社勤務。マンガナイトではすっかりイジラれ担当になってしまった最近(!?)。男子校の寮でマンガの面白さに目覚めました。好きなジャンルはガロ系とヘタウマ系。藤子不二雄やつげ義春、水木しげるなどの古典的ナンバーも得意。心のマンガは『ダンドリくん(泉昌之)』『サルでも描けるまんが教室(相原コージ、竹熊健太郎)』でしょうか… ほかの趣味は読書、囲碁・将棋と悲しいほどのインドア派。ウェブサイト/グッズ制作を担当。