日出処の天子

小学生の私は、物語というものは、誰かが幸せになったり、成長したりするキッパリとしたオチが必要だと思っていた。「火曜日にコンビニに行くと既にジャンプが無い!」というジャンプ黄金期に育てられた私は、オチがないと物語がある意味がないじゃない! ぐらいに感じていたのだ。努力、友情で勝利だぜ! でも『日出処の天子』は、本物の名作とは、そんなところとは別のところにあるんだ、と教えてくれた。誰も幸せにならない、誰も成長しない終わり方。でもこの物語は美しい! と初めて感じたマンガ。

文=大阪れい