マンガ直行便~被災地・石巻、現地のニーズを聞いてきました

マンガナイトのメンバーは、被災地と漫画をつなぐ「マンガ直行便」の第二弾プロジェクトの実施検討にあたり、石巻市の雄勝・牡鹿地区を中心に活動する「トモノテプロジェクト」代表の中川千鶴さんにお話を聞いてきました。


第二弾プロジェクトは、被災地に、漫画や絵本を通じて被災地の方々がほっとするようなコミュニケーションの場を作ろうというものです。まずは少しずつイベントの場に漫画や絵本を置いてもらうことから始めて、夢は移動図書館の設置です。

メンバーは6月中旬の土曜日、早朝の東北新幹線で仙台駅に到着。レンタカーを借りて一路石巻市に向かいました。

仙台駅周辺は、震災前と変わらないのに、石巻市に入ると入り口が壊れた商店や、土台だけが残った住宅、瓦礫の山が現れました。石巻市内は電力供給が不十分で、信号機は使えないまま。警官らしき人たちが交差点で指示を出していました。港近くでは多くの自衛隊の車がはしり、復旧途中であることを実感しました。

トモノテプロジェクト」の中川さんは、水産メーカーの事務所があったビルをボランティア活動の拠点として整えているところで、震災から3カ月がたった今のボランティア活動や復旧の状況について話してくれました。

「トモノテ」はもともと、自治体の支援が行き届かない地域の生活再建や復旧を支援することが目的。特に雄勝・牡鹿地区は石巻市の中心から遠いこともあり、当初は支援物資が届かないこともあったといいます。中川さんらはこの地域の避難所を回り、瓦礫の撤去や必要物資の聞き取りなど要望を聞いて回っています。

「支援」というと、多くの物資が必要と思われますが、避難所は意外に個人スペースが小さいとのこと。「むやみにものを送ると邪魔になることもある」と教えていただきました。中川さんも要望を聞きに行くときに書籍や絵本を3~4冊持って行くだけにしているそうです。

「漫画などは必要でしょうか」という問いに対しては「被災者の交流、気分転換には鮮やかな色合いの絵本がいい」。ボランティアにくる学生やスタッフにも、色が豊富な絵本や気分転換になる小説や漫画があればうれしい、とのことでした。瓦礫の処理など単調な色の中で活動するため、気分を入れ替えるには緑などを見たいというのが理由で、夜は暇な時間をもてあますことも増えてきたそうです。

雄勝・牡鹿地区を含め、石巻市の多くの場所では、自衛隊などによる大きな瓦礫処理は一段落し、今は細かな廃材の撤去などを個人の依頼で進めています。今後トモノテは現地で仕事を作る考えで「漫画を含めた書籍と飲食物を提供するカフェを街中に開きたい」(中川さん)といい、長期的には漫画の需要もあるのではと思いました。

当たり前ですが、被災地との交流には、「相手のニーズありき」を実感。今後個別の地域でニーズを集め、必要なところに漫画を提供するようにしていきたいと思います。そのため、6月末に石巻市で移動カフェを開く「まほろば」に、20冊前後漫画を持っていってもらい、現地の需要や反応を探ってこようと思っています。

なお、1泊2日の仙台・石巻訪問では、漫画好きには外せない「石ノ森萬画館」も訪問。今だ看板がはずれ、壊れた入り口はベニヤ板で応急処置をされた状態でしたが、入り口に立てかけられたベニヤ板にはボランティアにきた人などの応援メッセージが。建物が残ったことをうれしく思いつつ、再開を祈りました。