昔好きだったマンガ、今ではあまり思い出されることはないけど、マンガ家自身にとっては命を懸けた分身であることがひしひしと感じられる作品。「つるピカハゲ丸」でヒットを飛ばした作者自身の半生を追ってゆく形で、熱さに溢れるコロコロコミックの創刊秘話がひもとかれてゆく。いま栄光は過去のものとなり、年齢と借金を重ね、疲れきった作者。そんな生みの親を励ますように、かつてのヒットキャラクターが変わらない姿で現れる。その都度「オレから漫画をとったらなにが残るー!!!」とペンを握り直す作者の姿はハゲ丸くんであり、轟一番そのもので、武田景虎が憑依している。昔懐かしいドタドタのギャグマンガタッチで描かれるハードノックライフのギャップに引きこまれ、一気に読了してしまった。人生いつだってこれからだ、という気持ちになる。
投稿日: 2016年6月10日
文=本多正徳
1980年、広島生まれ。専門出版社勤務。マンガナイトではすっかりイジラれ担当になってしまった最近(!?)。男子校の寮でマンガの面白さに目覚めました。好きなジャンルはガロ系とヘタウマ系。藤子不二雄やつげ義春、水木しげるなどの古典的ナンバーも得意。心のマンガは『ダンドリくん(泉昌之)』『サルでも描けるまんが教室(相原コージ、竹熊健太郎)』でしょうか… ほかの趣味は読書、囲碁・将棋と悲しいほどのインドア派。ウェブサイト/グッズ制作を担当。