日々コウジ中

大切な思い出を忘れてしまう、感情が制御できなくなる、それでも自分は正常だと思っている。身近な人がどこまで変わったら、その人はその人じゃなくなってしまうのか。それでも愛情を持って接することができるんだろうか。【高次脳機能障害】になった夫と、それを支える家族の日常が描かれる。柔らかいイラストとコミカルな語り口に、つい「次のページでコウジさんは、どんなことをやらかすんだろう…」と野次馬的に読み進めてしまう。読み終えた時には、この障害とそれを取り巻く環境、家族愛について何かしら考える事になるだろう。障害に翻弄される中、時折「コウジさんらしさ」の本質が見える描写があり、それが鮮やかに胸に迫ってくる。

文=本多正徳
1980年、広島生まれ。専門出版社勤務。マンガナイトではすっかりイジラれ担当になってしまった最近(!?)。男子校の寮でマンガの面白さに目覚めました。好きなジャンルはガロ系とヘタウマ系。藤子不二雄やつげ義春、水木しげるなどの古典的ナンバーも得意。心のマンガは『ダンドリくん(泉昌之)』『サルでも描けるまんが教室(相原コージ、竹熊健太郎)』でしょうか… ほかの趣味は読書、囲碁・将棋と悲しいほどのインドア派。ウェブサイト/グッズ制作を担当。