2月20日夜、東京・神保町漫楽園で「フキダシコミックス発売記念レセプションパーティー」を開催しました。
マンガを象徴するセリフのついたカバーから作品を選んでもらう「フキダシコミックス」の発売を記念したものです。
約20人が集まり、持参のマンガのセリフについて話し、マンガナイトメンバーらのセリフに対する熱い思いに耳を傾けました。
講演したマンガナイト代表の山内康裕さんらは「漫画を読む人も、読んだことがない人も新しい作品との出会いを楽しんでほしい」と強調しました。
この日のメーンは、マンガナイト代表の山内康裕さん、book pick orchestra代表の川上洋平さん、Arts and Law共同ディレクターの永井幸輔さんの講演会。モデレーターの阿部純さんが、3人それぞれのマンガのセリフに対する思いを引き出しました。
フキダシコミックスの原型を発案した山内さんは「マンガとの新たな出会いを演出したい」とその思いを説明。新しい漫画と出会い、周りの人と感想を共有してほしいという狙いのイベント「マンガリーディングナイト」にもつながる、とのことでした。
フキダシコミックスの案のもとになったのは、book pick orchestraの文庫本葉書。book pick orchestra代表の川上さんは、東京・渋谷のギャラリーで開催された漫画家の展覧会時に「文庫本葉書にマンガもいれられないか」と考えたといいます。もともとマンガナイトのイベントに参加していた川上さんは、山内さんらマンガナイトメンバーが選ぶマンガが充実していることを実感。マンガナイト代表の山内さんと組むことを考えたそうです。漫画家の展覧会で販売した分は好評でした。
一方山内さんは、マンガを家に置くとき、カバーをつけて部屋の雰囲気にあうようにする人もいることに注目。「捨てられないセンスのいいカバーを提案できないか」と考え、川上さんの提案と合わせ、セリフをつけたカバーを提案。「フキダシコミックス」の企画に結びつけました。
阿部さんは「なぜ帯やレビュー文ではなく、タイトルを隠すカバーなのか」と質問すると、山内さんが「(セリフひとつと)情報が少ない中で、そのマンガが何かを想像しながら選ぶ楽しさを知ってほしかった」と回答。
川上さんも「長々とかかれたレビューより、本やマンガをよく知っている人が薦めてくれる、普段自分が触れない分野の作品が面白いと思うことが多い」とコンセプトに共感を示しました。
永井さんも「このマンガにこんなセリフがあったのかという意外なセリフとの出会いも面白いです」と話しました。
セリフに注目することのおもしろさとして川上さんは、鳥山明さんの「ドラゴンボール」の孫悟空のセリフを紹介。「自分が『このシーンのセリフだ』と思い込んでいた場所では実は使われていなかった」と、マンガを読んでいても意外にセリフを誤解していることもあることを指摘しました。
一方山内さんは「インテリアにマンガの表紙の絵柄が合わないと思う人がいる」との考え。統一されたシンプルなカバーをつけることで、販売場所を増やしたり、部屋に置く人を増やしたりできると話しました。
永井さんも「マンガでセリフに注目する機会があってもいい。吹き出しのセリフを切り口に面白い試みにしていきたい」と話しました。
阿部さんの「今後の展開は」という質問に対しては、川上さんと山内さんは「文庫本葉書のように、マンガと人の新たな出会いの演出をしたい」といい、幻想図書館を例に挙げました。
弁護士の永井さんからは、法律面の話も。永井さんは「マンガはもともと、漫画家の原稿をコピーするところから始まる文化」と指摘。コンテンツ業界が大きく変わる中「フキダシコミックスのような挑戦があってもいい。フキダシコミックスが新しい作品の発表や宣伝になるなど、次の作品につながってほしい」と話しました。
講演後は、参加者が持ってきた漫画から、お気に入りのセリフを紹介。意外なマンガとセリフの紹介に、会場は盛り上がりました。
今回も参加者みなさんに持ってきていただいたお薦めマンガを紹介します。ブクログの「manganightの本棚」にも公開しました。