マンガナイト企画展「mangaな展」

2013年5月27日(月)〜6月2日(日)、マンガナイトの企画展「mangaな展」を水道ギャラリー酢飯屋)にて開催します。

mangaな展
会場ではマンガ表現からインスパイアされたさまざまなプロダクトを展示しています。また、マンガナイトのお勧めグルメマンガの紹介もしています。

6月1日(土)夜には、併設の酢飯屋にて食のイベント「寿司漫画ナイト」も開催しています。
6月2日(日)午後は、参加者同士でマンガを贈り合うワークショップを行います。

営業時間
5月27日(月)~30日(木)11:30~17:00
5月31日(金)、6月1日(土)11:30~22:00
6月2日(日)11:30~16:00
会場
水道ギャラリー(酢飯屋併設)
112-0005 東京都文京区水道2-6-6
TEL: 03-3943-9004


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【6月1日(土)】寿司漫画ナイト

あの寿司漫画に登場するようなお寿司を、グルメ漫画とともに楽しんでいただく「寿司・酢飯屋」との食のコラボレーションイベント(マンガナイトが企画サポート)です。

詳細と参加お申し込みはこちら

お持ち寄り頂いたグルメマンガをみなさんで共有したあとに、マンガでしか見れないような、あっと驚くお寿司まで食べれてしまうという内容です。

寿司・酢飯屋

使う食材や道具は可能な限り現地に足を運び、五感で確かめると言うことにこだわりのもと、月に一度は日本各地に旅に出ている寿司職人 岡田大介さんが、弟さんと一緒に完全紹介制、完全予約制の店として元お豆腐屋さんの古い一軒家を改装し営業されているお店です。

基本情報

日時
2013年6月1日(土)19:00~22:30
場所
『酢飯屋』 文京区水道2-6-6
最寄駅
地下鉄 有楽町線 『江戸川橋駅』 4番出口から徒歩3分
会費
5,000円(お酒代は別途)
持ち物
イチオシのグルメ漫画1冊
定員
20名(先着順)
※ 詳細とお申し込みは寿司・酢飯屋のホームページからになります

脱構築されたバンド・デシネが生んだ新しい表現世界

2012年から相次ぎ欧州やアメリカのマンガが日本に紹介されている。

これまで数多くの日本のマンガ家に影響を与えてきた海外のマンガ作品だが、最近はマンガ以外のエンターテインメントにも影響を広げている。新しい文化の流入で日本のマンガにも進化が期待できそうだ。

その端緒がフランス語圏のマンガ「バンド・デシネ(BD)」にインスピレーションを受けたゲームソフト『GRAVITY DAZE 重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』だ。

『GRAVITY DAZE』は2012年9月に発売したソニー・コンピュータエンターテインメントのプレイステーションVita用ソフト。架空の都市を舞台に、主人公のキトゥンが重力を操り、嵐に奪われる街を取り戻そうとするアクションゲームだ。Vitaのジャイロセンサー機能を使い、重力を操作しているかのようにキャラクターを動かすことができるのが特徴で、2013年メディア芸術祭のエンターテインメント部門で優秀賞を受賞した。メディア芸術祭のホームページでは受賞理由を「重力を操るという新しい快楽のあり方を発明した」としている。

一見普通のグラフィックが美しいアクションゲームに見えるが、開発者の外山圭一郎はメディア芸術祭内で開催された講演会で、その開発のきっかけになったのはフランスのバンド・デシネ作家、メビウスの作品を見たことだと説明。「メビウス氏の鮮やかな空間にインスパイアされた」といい、欧州的な風景の中にキャラクターが浮いている絵を思いついたという。

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さらにアクションシーン以外のストーリー展開はバンド・デシネのようなコマ割りで進む。しかもゲーム本体を傾けると2次元だったコマが2.5次元になるという工夫までされているのだ。

バンド・デシネはフランス語圏で出版されるマンガの総称だ。子ども向け冒険物語からSFまで幅広いテーマを扱っている。日本のマンガに比べて絵の表現に重きを置いた作品が多い。週刊誌や月刊誌に掲載された連載作品がコミックスになる日本に対し、最初から単行本の形で発売されるものがほとんどだ。

バンド・デシネはこれまで何度か日本に紹介されており、『AKIRA』作者、大友克洋らの表現にも影響を与えたことで知られている。大友は「ユリイカ」3月臨時増刊号「世界マンガ体系」のなかのインタビューで「バンド・デシネの作家の描くSFの世界にあこがれた」と話している。このフレンチコミックが、日本のマンガだけでなく、家庭用ゲームの表現にまで影響を与えていたのは驚きだ。

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これまでマンガとゲームが必ずしも断絶していたわけではない。むしろ愛好家の層が一部重なり合うなど関係は深い。だがその関係は、「ゲームをマンガ化する」「マンガのキャラクターをゲームに使う」「ゲームを楽しむ人をマンガにする」など。あくまでゲームとマンガというそれぞれの分野を、相手の分野で拡張するだけにすぎなかった。

もちろん拡張により登場したすばらしい作品も多い。ゲームのマンガ化では『ポケットモンスター』があげられる。元は任天堂が発売した『ポケットモンスター』というゲームだったが、子供向け幼年誌でマンガになり、アニメ化されることで世界的なキャラクターに成長した。ゲームを楽しむ人を題材にした作品では、すがやみつるの『ゲームセンターあらし』(小学館)や押切連介『ハイスコアガール』などだ。後者は1990年代のゲームセンターや家庭用ゲームのヒット作を紹介しつつ、ゲームを楽しむ男の子の青春と恋愛をうまく描いている。

これらと『GRAVITY DAZE』が違うのは、一見してこれがバンド・デシネというフレンチコミックの影響をうけたものだとはわからないことだ。開発者らの話を聞けば、その根底にバンド・デシネの表現方法やアニメーション作成の手法が活用されたことがわかる。だがそれらの世界観や手法が開発者らのなかでいったん咀嚼されたうえでオリジナル作品としてユーザーには提示されているのだ。外山は「バンド・デシネのままでは難解すぎた」といい、日本のキャラクター文化を組み合わせた。


「4Gamer .net」より

この過程は、これまでの日本マンガの進化と重なる。これまで日本マンガは古今東西の小説や映画、舞台芸術から様々な物語や表現方法を取り込み進化させてきた。手塚治虫氏の初期の作品では、当時の洋画に影響を受けたものが多い。週刊少年ジャンプで連載中の『ONE PIECE』の作者、尾田栄一郎も映画監督の黒澤明の作品の世界観に影響を受けているといわれている。もちろん、古今東西の作品を深く咀嚼し、自分のものとして新たな表現としている。

そのようにして歴史を積み上げてきたマンガが、逆に他のエンターテイメントである家庭用ゲームに同様の影響を与えることになったのは、マンガという文化が世界中で深化した証左といえるのではないだろうか。

日本のゲームに影響を与えたのが日本産のマンガでなかったことは悔しいが、マンガという表現方法がゲームに対してまだ貢献の方法があるということなのだろう。今後もそうあってほしいし、マンガという表現方法や業界も、海外進出を視野に入れた開発を進めるゲーム業界から多くのことを吸収できるのではないだろうか。

関連サイト
『GRAVITY DAZE 重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』(ソニー・コンピュータエンタテインメント/プラットフォーム)

文=bookish
1981年生まれ。「ドラえもん」「ブラック・ジャック」から「週刊少年ジャンプ」へと順当なまんが道を邁進。途中で「りぼん」「なかよし」「マーガレット」も加わりました。主食はいまでも少年マンガですが、おもしろければどんなジャンルも読むので常におもしろい作品を募集。歴史や壮大な物語をベースにしたマンガが好み。マンガ評論を勉強中。マンガナイト内では「STUDIOVOICE」のコラムなど書き物担当になっています。マンガ以外の趣味は、読書に舞台鑑賞。最近はサイクリングも。

リアルとマンガが逆転する時

マンガの中と現実世界、フィクションとノンフィクションがわけがわからなくなる。マンガの中で展開されている物語の方が、より現実味を帯びているからだ。
架空と現実の境界線を曖昧にしていく最上のテーマは、「インターネット」といえるだろう。

筒井哲也の『予告犯』では、インターネットを使った劇場型犯罪が描かれている。

新聞で作った覆面をかぶり「明日の予告を教えてやる」と画面の向こうの無数のユーザーに犯行予告をする「シンブンシ」。
その予告の内容は、明らかな法律違反ではないもののモラルに反することをしていた者に対する「制裁」予告。予告通りの事件が起きると、シンブンシは社会悪をこらしめる覆面のダークヒーローとして、全国の注目をさらうようになる。

それに対し警視庁のサイバー対策課・吉野絵里香は、明晰な頭脳と分析力、隙をゆるさない冷徹さで犯人たちを少しずつ暴いていく、というのがこの作品の物語。
犯人たちの過去、犯行の手口や動機、追いつめる警察側の推理などが細かく描かれ、読者は犯人・警察どちらの角度からも読み進めることができる。

今度は、現実世界でのネット犯罪をみてみよう。
最近起こったネット犯罪は「遠隔操作ウイルス事件」。これも犯人からのメールが大きく取り上げられた劇場型犯罪だったが、その動機は未だに不明瞭で、かつ警察が誤認逮捕する事案が起きるなど、さっぱり解決とは言い難い。

大きなニュースにはなっていなかったが、3月に欧州ではネット崩壊の危機といわれるほどのサイバー攻撃が発生していた。史上最大規模のDDoS攻撃は、ネットの根幹を揺るがすものとして衝撃を与えた。

また、2010年以降のネット犯罪は人間の感情を組み込んだものに変化を遂げた。

昔ながらのネットの脅威といえば、パソコン内のデータを破壊したり、書き換えてしまうものなど、愉快犯的なものが多かった。
現在では、明確に金銭の詐取を狙ったものが多く、手口も巧妙化している。

さらに、SNSの台頭によって知人・友人関係の「信頼」を利用した脅威が顕著だ。
Facebookでは友達の書き込みだと思ってクリックした途端、勝手に自分のウォールにも書き込みが行われ、意図せずウイルスを拡散する加害者となってしまう事例も発生している。

しかし、これほど高度化したにも関わらず、見たり聞いたり触ったりできるものではないのもあり、それが脅威であるという実感を得にくい。
生々しい自動車事故の現場なら、万が一自分の身に起こったら…と想像を掻立てるものがあるが、ネット犯罪はニュースで騒がれていても、自分の身にふりかかった時のことは想像しにくい。
欧州で発生した“ネット崩壊の危機”も、本来ならより衝撃的な出来事だったはずだ。

興味深いことに、日本のセキュリティソフト導入率は世界トップクラスで低い。これは自分が被害に遭った時の姿が想像しにくいからではないだろうか。
そして、ネットで起きていることはやはり「フィクションっぽい」のではないだろうか。

話を『予告犯』に戻すと、登場人物の過去や説得力のある犯行動機、手口などを細かく描くことが可能なのはマンガであり、架空だからこそ、である。

だが、現実のネットでおきる犯罪のほうが、明らかにならないまま忘れられたり、被害に遭っていることすら実感できなかったりと、遠い世界のものになってしまっている。

現代ならではの、現実とマンガの逆転現象が起きているのだ。

関連サイト
「ジャンプ改web」

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文=川俣綾加
1984年生まれ福岡県出身。フリーライター、猫飼い。岡田モフリシャス名義で「小雪の怒ってなどいない!!」を「いぬのきもち ねこのきもち WEB MAGAZINE」にて連載中。ライターとしてのジャンルは漫画、アニメ、デザインなど。冒険も恋愛もホラーもSFも雑多に好きですが最終的になんとなく落ち着くのは笑える作品。人生の書は岡田あーみん作品とCLAMP作品です。個人ブログ「自分です。

マンガナイト読書会―思い出の’90年代編

2013年5月11日(土)に主催イベント「マンガナイト読書会―思い出の’90年代編」を開催します。 今回のイベントは、マンガナイトではお馴染の小グループでのマンガの回し読みと、読んだマンガの感想の共有となります。

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参加のお申し込みは下記のフォームからお願いします。

今回のお題は「’90年代のお薦めマンガ」。大人な雰囲気の会場にあわせて、少し昔のマンガに遡ります。

’90年代のマンガで「これは語りたい!」「これは思い出の1冊です」という作品をお持ちください。持ち寄ったマンガのエピソードなどを語りあえればと思います。

会場にはメンバーお薦めマンガコーナーも用意。新しいマンガに出会えることは請け合いです。
※ 過去のイベントの様子はこちらから

会場は飯田橋の縁結びの神様 東京大神宮の近く、「CONGRATS CAFE」。みなさまと“マンガの縁”で繋がれたらと思います。

最近マンガを読んでいない方から、ヘビーリーダーの方まで、マンガを介して気軽にコミュニケーションが生まれ、新しいマンガに出会えるイベントです。みなさまのご参加をお待ちしております。

概要

【マンガナイト読書会―思い出の’90年代編】

内容
’90年代のマンガを紹介、感想を共有
日時
2013年5月11日(土)17:30(開場17:00)~20:30※ 20:30~懇親会
持ち物
「’90年代のお薦めマンガ」1冊〜数冊とお薦めポイント
参加料
2,000円(ワンドリンク・軽食付き)※ 懇親会の参加料:2,000円(食事込み、ドリンクは別途)
定員
20名(事前予約制)
会場
CONGRATS CAFE千代田区飯田橋3-2-6 フィルパーク2F地下鉄 飯田橋駅A5出口 徒歩1分JR飯田橋駅東口 徒歩3分


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第2回マンガ・イノベーションcafeトークイベント「マンガと場」

2013年4月23日(火)19:30〜21:00、マンガのイノベーションを目指す交流サロンのトークイベント「マンガと場」に、代表 山内康裕がボードメンバーとして出演します。
毎回、話題のニュースや人物、新たな技術やビジネスをテーマにトークセッションを行います。

詳細と参加お申し込みはこちら

※ 以下、掲載元より引用

開催日
平成25年4月23日(火)19:30〜21:00
場所
秋葉原UDX 4F UDXオープンカレッジ
参加費
無料
募集人数
30名
募集対象
マンガ、アニメ、ゲーム業界の方、そうした業界とコラボレーションを求めている異業種の方

第2回マンガ・イノベーションcafe「マンガと場」

「マンガと場」をテーマに、イベンターや建築家をトークゲストにお招きして、”マンガ”の可能性について、リアル空間・ネット空間といった「場」を切り口に、その未来を議論します。

イベントや常設施設、リアルコミュニティとネットコミュニティ、日常と非日常、都心と地方、ネットやソーシャルメディアの発達や浸透によって、もはやこれらは分断して考えるものではなく、複合的に考えるべきものとなりました。

そのような時代における新しい場、空間、設備、コンテンツとは?

各方面で先端的・独自的な活動を行っているトークゲストと立体的に語り合います。

プログラム

前半 ゲストスピーカーによるプレゼンテーション
中盤 トークセッション1
後半 トークセッション2

ゲストスピーカー

嶋田洋平 氏(株式会社らいおん建築事務所 代表取締役)

1976年 北九州市生まれ。株式会社らいおん建築事務所 代表取締役/一般社団法人HEAD研究会 理事 フロンティアタスクフォース委員長/京都造形芸術大学・インテリアセンタースクールICSカレッジオブアーツ 非常勤講師/修士(工学)一級建築士。1999年3月 東京理科大学理工学部建築学科卒業、2001年3月同大学大学院博士前期課程 建築学専攻 修了。2001年〜2010年 株式会社みかんぐみ勤務。2010年 らいおん建築事務所設立。UR都市機構 団地再生コンペ優秀賞。著書に『POST-OFFICE ワークスペース改造計画(2006年 TOTO出版)』『最高に気持ちいい住まいのリノベーション図鑑(2012年 エクスナレッジ)』。
ゲストスピーカー

武田俊 氏(合同会社カイユウ 代表)

1986年 愛知県名古屋市生まれ。 KAI-YOU, LLC. 代表。2011年、「すべてのメディアをコミュニケーション+コンテンツの場」に編集・構築するメディアプロダクション、KAI-YOU, LLC.(合同会社カイユウ)を設立。編集者、エンジニア、UI/UX/3DCGデザイナー、Webディレクター、イベントプランナー、イラストレーター、シナリオライターなど、様々なスタッフとともに新しいメディアとコンテンツ、ユーザーの関係を「編集」すべく多くのプロジェクトを展開中。
ファシリテーター/ボードメンバー

山内康裕 氏(マンガナイトレインボーバード合同会社 代表社員)

1979年生。法政大学イノベーションマネジメント研究科を修了(MBA in accounting)。2009年、マンガを介したコミュニケーションを生み出すユニット「マンガナイト」を結成。各種イベントを実施する。マンガナイトの活動から派生する形で、Rainbowbird.incを設立し、マンガ関連の販促企画・場のプロデュース・戦略立案事業、選書・執筆(「このマンガがすごい!」等)も手掛ける。Yamauchi Accounting Office税理士、NPO法人グリーンズ監事も務める。
ボードメンバー

芹田治 氏(エコーズ株式会社 代表取締役社長)

1985年、横浜生まれ。2012年、漫画とインターネットの会社、エコーズを創業。企業向けの広告漫画の制作やWEB制作・マーケティング事業を営みながら、WEB漫画をもっと読みやすく楽しめるWEB漫画投稿サービスを開発中。社名の由来は某漫画のキャラクター。
ボードメンバー

水野祐 氏(弁護士 シティライツ法律事務所 代表)

弁護士。シティライツ法律事務所代表。アーティスト・クリエイター等を支援する法律家によるNPO “Arts and Law”代表理事。著作権を柔らかく考えるライセンス体系の普及を目指す”Creative Commons Japan”、ものづくりにおける法的問題や仕組みを考える”Fab Commons(FabLab Japan Network)”、生活における音楽との新しい出会いを創出する”LiFETONES”などにも所属している。主にクリエイティブ・IT分野の法律・契約等のアドバイス・コンサルティング業務に従事しつつ、多様な課外活動を通して、カルチャーの新しいプラットフォームを模索する活動をしている。