熱戦!マンガ帯カルタ〜後編

前編では1月10日に開催されたマンガナイト読書会での、マンガ帯カルタの模様をご紹介しました。今回は後編となります。

帯を表彰するオビ=ワン・グランプリ

イベントの後半パートでは、各テーブルで良かった帯を数点ずつ選んでもらいました(オビ=ワン・グランプリ)。普段は表紙の引き立て役の帯ですが、買いたくなるフレーズ、デザインの良さなどから、ここでは帯中心のコンクールを行います。結果として6点の帯が選出され、その中で決選投票を行い順位を決定しました。

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6位

『ボールルームへようこそ』(竹内友)の帯
「僕らのことを見てほしい――。」競技ダンスを描いた本作品、スポ根らしさが出たセリフが切り取られている。さわやかな表紙の絵とあいまって、スタンダードな役割を果たした良帯。

5位

『10DANCE』(井上佐藤)の帯
「真夜中の教室で、男がふたり、秘密のレッスン」ターゲットとなる層を逃さない、わかりやすい作品紹介。帯の右下には小さく「本書は本格ダンスコミックスではありません。本格BLコミック(予定)です。」と書かれている。(予定)だけあって、確かにこの帯の1巻にはあまりBL要素はない。ストーリーもいいので、BL好きにはもちろん、BL好きでない人にも。

4位

『放課後ミンコフスキー』(帯屋ミドリ、青柳碧人)の帯
推薦者が、読書会参加前に中身を見ずに「帯買い」した1冊。表紙と絵柄が繋がった帯には、本来の表紙デザインにはないフキダシがついていて、作品内容を想像させるものになっている。今流行り(?)のタイムリープものということで、日常にちょっとした違和感を与えるSFの構図が、表紙にささやかなアクセントを加える帯の役割と相似形をなしており、工夫を感じる1冊。

3位

『大根入りカレーライスの唐辛子あえ』(守村大)の帯
帯全文「クリスタルマッツァオ!今、いっちゃん新しいニューウェーブ感覚が描くユニークなBOYSとGIRLSのデイリーライフ。」本体作品は1981年刊行。極太の明朝体で流行り言葉を詰め込んだ帯は当時からウケ狙いだったのかもしれないが、今やそれさえも醸成されて独特の雰囲気を放っている。

2位

『運命の女の子』(ヤマシタトモコ)の帯
表紙を含めた全体のアートワークの素晴らしさと「潰してあげる。」の不穏なフレーズのコントラストが秀逸。人間の怖さが存分に描かれた作品内容ともあっている。帯がかかっていることで、表紙の女の子の口元が隠れ、よりミステリアスな新しい表情となっているのもおもしろい。(Amazonリンク先では帯の外れた画像がみれます)

1位

『かばやし』(原克玄)の帯
「浅野いにお絶賛」のフレーズが帯の表、裏、背(本来、作者名があるべき部分)の全てに踊る。本体作品のアイデンティティを疑う潔さだが、やはり浅野いにおが絶賛するだけあってすばらしいギャグマンガらしい。

普段、新刊マンガを買っても帯は捨ててしまったり、ちぎれて無くなってしまうことが多いものです。改めて帯と向き合うことで、オススメしたいマンガの面白さをどう紹介するか、表紙デザインをさらに魅力的にするにはどうしたらいいかなどのヒントが得られました。時代性が出ているのも資料としての価値が大きく、楽しめる部分でした。

 

マンガメシの登場

ちょうどお腹がすいてきたところでマンガメシの時間となりました。今回、ケータリングをお願いしたのは「中山沙也可とことり食堂」さん。ことり食堂は、神宮前で心と体に優しいご飯を日替わり提供しているかわいいレストランです。

今回は特に、「ごはんが特徴的なマンガ」×「冬に食べたいご飯」というコンセプトで5品をアレンジいただきました。大皿、お鍋が部屋に運び込まれるたびに上がる参加者からの歓声。

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どのメニューもとても美味しくて、身も心も温まりました。懇親会ではマンガメシをいただきつつ、三々五々のグループで、帯カルタの感想やマンガを利用したゲームのアイデア、最近のおすすめマンガなど思い思いの話題に花を咲かせました。

マンガ帯カルタの熱い戦い、Hotなマンガメシで外の寒さも思い出せない一日となりました。参加者の皆さまにはご来場いただき、ありがとうございました。

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文=本多正徳
1980年、広島生まれ。専門出版社勤務。マンガナイトではすっかりイジラれ担当になってしまった最近(!?)。男子校の寮でマンガの面白さに目覚めました。好きなジャンルはガロ系とヘタウマ系。藤子不二雄やつげ義春、水木しげるなどの古典的ナンバーも得意。心のマンガは『ダンドリくん(泉昌之)』『サルでも描けるまんが教室(相原コージ、竹熊健太郎)』でしょうか… ほかの趣味は読書、囲碁・将棋と悲しいほどのインドア派。ウェブサイト/グッズ制作を担当。