マンガナイトは5月11日、2013年2回目のリーディングイベント「マンガナイト読書会―思い出の’90年代編」を開催しました。
今回の会場は飯田橋駅近くカフェ「CONGRATS CAFE」。
なんと、街中の駐車場の上にあります。なんだかマンガみたいなスペースの使い方です。
会場内は木目調の机やカウンターでとてもおしゃれな雰囲気です。イベント抜きにしてもゆっくり本やマンガを読みたい場所です。ソファやいすもいい座り心地でした。
読書会は代表の山内の挨拶でスタート。今回のテーマは「’90年代っぽいマンガ」ということで、ブースを「少女」「少年」「青年」の3つにしました。
一通り参加者が自己紹介し、持ってきた作品について話すと読書タイム。一気に静かになります。横で持ってきた作品の紹介を聞いていましたが、なかなか時代を反映したものが。月刊コロコロで連載していた小野敏洋氏の「バーコードファイター」、ご存じでしょうか? 90年代当時発売されていた「バーコードバトラー」という電子ゲーム機を題材にしたメディアミックス作品です。男子にはすごく人気だったらしいですよ。筆者もこれに似た玩具(スーパーバーコードウォーズ。ドラゴンボールのキャラクターのカードを使うやつでした)で遊んでいたのを思い出しました。
回し読みが終わると、それぞれのブースに集まった作品の発表です。もともとマンガナイトの読書会は20代後半~40代、つまり1990年代子どもとしてマンガを読んでいた世代の参加が多く、この時代に出版された作品は人気です。今回はもう少し踏み込み、「そのマンガのどこが’90年代っぽいのか」を考えてもらうことにしました。
「青年班」は’90年代初期から後期にかけてのファッションの変化に注目。例えば「『幽☆遊☆白書』第1巻に登場したキャラクター、桑原和真は明らかに’80年代のヤンキー文化を引きずっている」「『モンキーターン』の女子高生はルーズソックスをはいているが、まだやぼったい」「’94年ごろ出版された『赤ちゃんと僕』にはガングロギャルが登場する」などの意見が出ました。そういえば今の少女マンガでルーズソックスをはいているキャラクターは少ないですよね。昔はみな、はいていたのですが…… 「赤ちゃんと僕」のように会社にガングロ女性が出勤してくる様子もあまり今は見られません。
「少年班」が注目したのはマンガで使われているガジェットや通信方法の変化です。ゆうきまさみ氏の「じゃじゃ馬グルーミンUP!」で待ち合わせをする登場人物らが使うのは駅の伝言板。浦沢直樹氏の「MONSTER」でも主人公は会いたい相手をポケベルで呼び出し、記憶力に優れた登場人物の表現にはフロッピーディスクが象徴的に使われていました。
会場からは「今、フロッピーディスクといわれても、あまり記憶力がよくみえない」と辛辣な意見も。記憶媒体がなくなったら一体読者はこのたとえをどうとらえるのでしょうか。カセットテープやビデオテープもそうですが、デジタル機器を描くのは非常に難しい時代です。ちなみに筆者は伝言板が駅からなくなったとき「シティーハンターは活躍できなくなるのか」と愕然としました。
さらに少年マンガについて、絵が変化していることを説明してくれました。’90年代は顔の輪郭を描くのにすごくたくさんの線を使っていたのに対し、今はかなり洗練されて顔の線は厳選されています。代わりに増えたのは身体や衣服の線だそうです。
「少女班」はコミュニケーションの取り方の変化を恋愛マンガを取り上げて説明。現代のようにパソコンや携帯電話はあまり登場せず、特に少女マンガでは直接的なアプローチが多かったそうです。もちろん告白は、ラブレターを渡したり自分の口で告白したり。
なかなか興味深い指摘が続いたあと、最後は「カズノコGXコーナー」の担当者からお勧め作品の紹介です。少年マンガから少女マンガまで幅広い作品の中から、「喰う寝るふたり住むふたり」や「重版出来!」を紹介してくれました。「喰う寝るふたり住むふたり」はかなり書店で動いているそうです。読むと結婚したくなるらしいそうですが、実際みなさまどうでしょうか。
当日は生憎の雨にもかかわらず、たくさんの方にご参加いただきました。みなさまありがとうございます。次回はまた夏ごろ開催予定です。